粒子・メッシュ・エバルト (PME) 法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/22 17:02 UTC 版)
「エバルトの方法」の記事における「粒子・メッシュ・エバルト (PME) 法」の解説
エバルト法は、計算機の出現よりずっと以前に、理論物理学における手法として開発された。しかしながら、エバルト法は1970年代以降、粒子系のコンピュータシミュレーション、特に重力や静電気学といった逆2乗力を介して相互作用する粒子系において広範に使用されている。最近、PME法は打ち切りによるアーティファクトを除去するためにレナード-ジョーンズ・ポテンシャルの r − 6 {\displaystyle r^{-6}} 部分の計算にも使用されている。PME法はプラズマ、銀河、分子のシミュレーションに応用されている。 粒子・メッシュ法では、標準のエバルト和と同じく、包括的相互作用ポテンシャルが2つの項へと分離される。 φ ( r ) = d e f φ s r ( r ) + φ l r ( r ) {\displaystyle \varphi ({\boldsymbol {r}})\ {\stackrel {\mathrm {def} }{=}}\ \varphi _{\mathrm {sr} }({\boldsymbol {r}})+\varphi _{\mathrm {lr} }({\boldsymbol {r}})} . 粒子・メッシュ・エバルト和の基本的考えは、点粒子間の相互作用エネルギーの直接和 E TOT = ∑ i , j φ ( r j − r i ) = E s r + E l r {\displaystyle E_{\text{TOT}}=\sum _{i,j}\varphi ({\boldsymbol {r}}_{j}-{\boldsymbol {r}}_{i})=E_{\mathrm {sr} }+E_{\mathrm {lr} }} を実空間における短距離ポテンシャルの直接和 E s r {\displaystyle E_{\mathrm {sr} }} (すなわち粒子・メッシュ・エバルトの粒子部分) E s r = ∑ i , j φ s r ( r j − r i ) {\displaystyle E_{\mathrm {sr} }=\sum _{i,j}\varphi _{\mathrm {sr} }({\boldsymbol {r}}_{j}-{\boldsymbol {r}}_{i})} と長距離部分のフーリエ空間における和 E l r = ∑ k Φ ~ l r ( k ) | ρ ~ ( k ) | 2 {\displaystyle E_{\mathrm {lr} }=\sum _{\boldsymbol {k}}{\tilde {\Phi }}_{\mathrm {lr} }({\boldsymbol {k}})\left|{\tilde {\rho }}({\boldsymbol {k}})\right|^{2}} へと置き換えることである。 Φ ~ ℓ r {\displaystyle {\tilde {\Phi }}_{\ell r}} および ρ ~ ( k ) {\displaystyle {\tilde {\rho }}({\boldsymbol {k}})} はポテンシャルおよび電荷密度のフーリエ変換を表す(すなわちエバルト部分)。どちらの和もそれぞれの空間(実空間ならびにフーリエ空間)において素早く収束するため、精度の損失がほとんどなく打ち切ることができ、必要な計算時間を大きく改善することができる。電荷密度場のフーリエ変換 ρ ~ ( k ) {\displaystyle {\tilde {\rho }}({\boldsymbol {k}})} を効率的に評価するため、高速フーリエ変換が用いられる。高速フーリエ変換では、密度場は空間中の離散格子(すなわちメッシュ部分)上で評価される必要がある。 エバルト和はポテンシャルの周期性を仮定する。PME法の物理系への適用にあたり,ポテンシャルの周期的な対称性が必要となる。そのため,この手法は空間的に無限に広がる系(バルク固体など)のシミュレーションに適している。分子動力学シミュレーションでは、これは電荷が中性の単位セルを無限に並べることによって通常達成される。しかしながら、この近似の効果を適切に説明するために、無限に続くセルは元のシミュレーションセルへと再取り込みされる。これは周期的境界条件と呼ばれる。 密度場のメッシュへの制限は、密度の変動が「滑らか」な系(連続ポテンシャル関数を持つ系)についてPME法をより効率的にしている。局在した系、または密度の揺らぎが大きな系については、GreengardとRokhlinの高速多重極法(英語版)を用いてより効率的に扱うことができる。
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