筋肉を束で使う
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/08 04:30 UTC 版)
二つのスピン運動を引き起こすためには、筋肉を単独でなく束で使う。従来考えられてきた投球動作では棘下筋と呼ばれる小さな肩周辺の筋肉に負荷を集中させてしまいやすい。筋肉を束で使う・・・この発想を理解するにはプロペラの付いたおもちゃの飛行機を思い浮かべて下さい。プロペラを巻くと束状になったゴムは巻かれ平等に引っ張られていく(アウターマッスル、インナーマッスルも同時に。)これ以上巻けない地点から開放するとプロペラは徐々に速度を上げ回転する(※反射的動作によるゼロポジションによる回旋運動)。限界までよじったゴムがよじり戻される。 今回のゴムは筋肉のモデルとしたが、反射的動作を持ち得る素材として有用である。何故ならば筋肉もバネやゴムのようにSSC(Stretch Shortning Cycle)という、筋、腱部は伸ばされる(伸張性収縮)と、その負荷が漸減されれば、勢いよく収縮(短縮性収縮)する事が知られている。この伸張、収縮がリズムよく反復的に発生すればSSCの運動様式が成立し、通常の運動と比較した場合、筋出力の増加と、消費カロリーが少なくて済むという特徴を持っている。詳述すれば筋に蓄えられた弾性エネルギーを利用する事でニュートン力学における出力=仕事を亢進するというものである。 1stスピンは第1軸の反射的回旋運動であり2ndスピンは第2軸の反射的回旋運動である。脊柱を中心とした体幹部をよじり戻しながら両腕をねじり戻せばダブルスピン投法となる。その際腕が捻られMES(Maximal External Spiral)と呼ばれる最大外旋位=(胸の張れるシーンからMIS(Maximal Internal Spiral)最大内旋位(手のひらが宙を向くシーン)まで肩周辺の筋肉らの総動員による弛緩→伸張→回旋→短縮のサイクル(RSSC※後述する)が成立する。 その際、回旋形態でのSSC=(Rotator Stretch Shortning Cycle)が発生すると手塚は考え、その運動様式をRSSCと名付けた。 (※従来、ゼロポジションでは回旋動作は発生不可能と考えられてきたが、1996年に手塚は回旋が可能になる余地、条件を発見。随意運動による回旋は外転作用三角筋が優位に働き、インナーマッスルである棘上筋と呼ばれる小さな筋肉を肩峰が挟み込む格好となり回旋運動は不可能(障害を招きやすい)となり、不随意運動(脱力に伴う肩腕部外転)ならば三角筋の先行的な収縮を抑え、意図的に捻らず、肩腕部が捻られるというポジショニングを確保出来ているならばゼロポジションでの回旋動作は可能となる。ダブルスピン運動原理による手塚自身の見解では、アウター優位でも、インナー強調でもなく、「束」での共同作業が肩腕部の筋腱本来の機能であると捉えられている。肩関節の可動域が大きい投手では、手のひらが宙を向くシーンが0度とすると、胸の張れるシーンでは推定で、180度程度にまで外旋が可能になる。MISからMESへのポジショニングの変位への回旋トルクの原動力は、胴体の回旋の結果による、その際の肩腕部のポジショニングで発生する二度に渡るRSSCである。)
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