第5戦・The Flu Game
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「1996-1997シーズンのNBA」の記事における「第5戦・The Flu Game」の解説
2連敗という緊急事態のなか、ブルズを更なる災難が襲った。絶対エースのマイケル・ジョーダンが、突如の体調不良に襲われたのである。 試合が開始するちょうど24時間前の6月10日、ジョーダンは不快感と異常な汗の中で目覚めた。ベッドから起き上がるのにも苦労したジョーダンは、医者に食中毒と診断される。トレーナーはジョーダンがプレイするのは無理だと判断したが、2勝2敗で迎えた第5戦はその結果がそのまま優勝の行方に直結する極めて重要な試合であり、ブルズにとってジョーダン抜きで戦うことなど考えられず、またジョーダンにとってもこの重要な試合をベンチから眺めるなどありえないことだった。試合当日の6月11日、ジョーダンはホテルでデルタ・センターに間に合うぎりぎりの午後3時にようやくベッドから起き上がり、第5戦に強行出場した。 しかしジョーダンの憔悴は傍から見ても明らかであり、第1Qのブルズはジャズの猛攻の成すがままとなった。棒立ちのジョーダンの側でマローンとストックトンがブルズに襲い掛かり、一時ジャズは16点のリードを奪った。しかし第2Qに入ると半病人のジョーダンが静かに反撃を開始する。その動きにいつものスピードや俊敏さは見られなかったが、彼の放つジャンプショットが次々と決まり、第2Qだけで17得点を記録。ブルズは第2Qだけで33得点をあげ、一時は逆転。すぐにリードを奪い返されるも、前半を53-49の4点ビハインドで終えた。第3Qに入るとジョーダンは再び棒立ちとなるが、その間をピッペンとルーク・ロングリーが懸命にブルズを支え、一進一退の攻防が繰り広げられた。そして72-67のジャズ5点リードで迎えた第4Q、再びジョーダンが目覚め、ジョーダンはこのクォーターだけで15得点を記録し、ブルズが連続10得点の猛攻を見せる。そして85-84のブルズ1点ビハインドで残り1分を切り、ジョーダンがフリースロー2本を獲得。1本目を決めて同点に追いつくが、2本目はミス。しかしジョーダンは自らオフェンスリバウンドを掴み取り、そして残り25秒には逆転となる3Pシュートを決めた。ジャズはすぐさまストックトンのアシストからグレッグ・オスタータグがダンクを決めて88-87とするも、ボールを持ったピッペンについたマローンはすでに5つのファウルを犯しており、マローンはファウルゲームに行くのに躊躇してしまった。結果、クーコッチのアシストからロングリーのダンクで再び90-87と突き放される羽目となり、スローンHCはたまらずタイムアウトを請求。その瞬間、ようやく緊張状態から解き放たれたジョーダンは、ピッペンの腕の中で崩れ落ち、ピッペンに抱えられながら辛うじてベンチに戻ることができた。試合はブルズが手堅くファウルゲームにいき、90-88でブルズが勝利、優勝に向けて王手を掛けた。 ジョーダンは44分間プレイし、38得点7リバウンド5アシスト3スティールを記録。ピッペンは17得点10リバウンド、ロングリーは12得点を記録した。ジャズはマローンが19得点7リバウンド、ストックトンが13得点5アシストだった。 このファイナル第5戦はジョーダンが体調不良の中でもなお最高のプレイをした試合として伝説化されている。当時ジョーダンの体調不良の原因はインフルエンザ(Flu)とも言われていたため、しばしば"Flu Game"と呼ばれている。2013年12月12日、この試合でジョーダンが履いていたシューズが競売で10万4765ドル(約1085万円)で落札された。このシューズは、当時のボールボーイが試合後にジョーダンからサイン入りで渡されたものであった。 チーム1234スコアブルズ 16 33 18 23 90 ジャズ 29 24 19 16 88
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