窒化された鋼の構造とは? わかりやすく解説

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窒化された鋼の構造

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/25 22:57 UTC 版)

窒化処理」の記事における「窒化された鋼の構造」の解説

窒化された鋼の構造は、鋼の種類窒化方法により少しずつ異なる。しかし概ね、最表面から化合物層→拡散層→未窒化層の順に構成される考えてよい。 化合物窒化された鋼の最表面存在する10μm以下の化合物の層である。これは前述通りγ'-Fe4Nまたはε-Fe23Nと同じ結晶構造有するおよびクロムなどの複合窒化物の層である。 化合物層の厚さ窒化方法により様々であり、アンモニアガス窒化では分厚く脆い化合物層が生成しやすく、一方水素窒素混合ガス用いたプラズマ窒化適用すると、化合物層の制御比較的容易である。Fe4Nで構成される化合物層は脆く割れ易いため機械部品には不適であり機械的に除去されるが、Fe23N構成される多孔質化合物層は潤滑性耐衝撃性優れるため、意図的に生成させることもある。従って、窒化用途に応じて化合物層の種類有無厚さ制御できる技術望まれている。制御技術一例としてSAEによる航空規格AMS)ではアンモニアガス窒化による化合物層の制御規定されている。これは窒化ポテンシャルKN― つまり反応寄与する反応種の窒素ポテンシャル ―を制御することで化合物層を制御する技術であるが、非常に高度な制御技術要求され、完全に化合物層の制御確立した技術未だ工業化されていない拡散層 化合物層の下部には、単に窒素固溶しただけの層、あるいは窒素固溶した母相添加元素窒化物分散析出した複合層が存在し、これを拡散層と呼ぶ。 純鉄普通鋼窒化したときの拡散層は、窒素固溶しただけの層であり大幅な硬化期待できないが、窒化物形成元素添加した鋼、つまり工具鋼窒化鋼などを窒化したときは窒化物形成元素微細に分散析出し、1000HVを大きく超える表面層を得ることが出来る。従って窒化によって鋼を大きく硬化させるためには、前述化合物層よりもこの高硬度拡散層を所望厚さまで成長させることが重要である。 外部窒化層と内部窒化古くは「化合物層」とそれに対応する拡散層」という言葉のみが使用されていたが、窒化技術の発展伴って単なる窒素含有としての拡散層」ではなく窒化物分散析出した拡散層」の存在注目され始めた。そして窒化技術の発展は、従来行われてきたや鋼の酸化に関する研究土台としており、金属の表面生成する酸化スケール外部酸化層、その内部の酸素含有層を内部酸化層と呼ぶことに倣って窒化により生じた化合物層を外部窒化層、拡散層を内部窒化層とも呼ぶ。また、窒化した鋼の断面鏡面研磨しナイタールエタノール硝酸混合液のこと。3 vol%程度硝酸濃度がよく用いられる)などで腐食すると、化合物層が白く見えるため白層(はくそう)と呼ぶこともある。

※この「窒化された鋼の構造」の解説は、「窒化処理」の解説の一部です。
「窒化された鋼の構造」を含む「窒化処理」の記事については、「窒化処理」の概要を参照ください。

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