積立方式と賦課方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 08:38 UTC 版)
「世代間格差#社会保障」も参照 年金制度には、積立方式(つみたてほうしき)と賦課方式(ふかほうしき)とがあり、積立方式とは若い現役時代に払い込んだ金を積み立て、老後にそのお金を受け取る仕組みである。賦課方式とは、働く現在現役の人が払い込んだ金を現在の高齢者に支給する仕組みであり、この賦課方式によって「世代間扶養」が実現できる。 現在、公的年金は老後の収入源として重要な位置を占めているが、昔からそうだったわけではない。例えば、アメリカ合衆国でも「ニューディール政策」以前には公的年金制度はなく、家族単位で働き盛りの現役世代が老いた両親と子供を養い、それが世代ごと受け継がれてきた。日本でも、現在の賦課方式年金制度の基礎が確立したのは、高度経済成長でそれまでの複数世代が同居する大家族から少人数で親子2世代のみの核家族化が顕著になった20世紀半ばである。 現在の賦課方式の年金制度は、個々の家族に代わって社会全体で高齢者を扶養をする仕組みである。したがって、積立方式では本人の積立金が枯渇すれば原則支給が停止するのに対して、賦課方式では本人が現役時代に納付した総額に関係なく、本人が生存する限り一定額の支給が継続する(逆に、例えば本人が受給開始前或いは受給中に死亡しても「残金」が返還されることはない)。これはいわゆる「長生きリスク」に対する備えつまり保険であり、年金制度が正式には「年金保険」、納付する金が「年金保険料」と呼ばれる所以である。 両者を比較した場合、賦課方式の利点の一つに、インフレ時の問題がある。激しいインフレが継続した場合、積立方式では積立金を予定よりも早く使い果たしてしまうが、賦課方式の場合、インフレスライドの効果で、現役の保険納付者の世代の納付額はインフレ分引き上げられ、給付者の給付額もインフレ分引き上げられることで、インフレリスクに対抗することができる。他方で、少子高齢化の進展で世代間の人口に大きな違いが生じると、現役世代の保険料負担が過重になるというデメリットがあることも否定できない。
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