積算が必要な理由
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 05:13 UTC 版)
店頭などで売られている商品には「定価」「売価」などの値段がついている。この値段とは、その商品を作って売るまでに要した費用(原価、コストなどという。製造費、運搬費、保管費、広告費など)に、製造者や販売者が受け取る利益を上乗せして設定しているものである。 これら商品の買い物をする際、消費者はいちいち積算などはしない。それは、その商品が銘柄は違えど規格はほぼ同じで選択肢が多く、消費者が普段培っている自分の生活感覚で値段の高低が判断しやすく(いわゆる、モノには相場があり、大体の相場を知っている。)、また製造者や販売者のほうも、大量生産などの手段により原価を一定とすることができるため、自ずと流通価格が確立するためである。 しかし、建設工事の場合は主として屋外かつ現地における単品生産であり、その工事の条件(設計、構造物、気象、環境、制約、施工方法)によって、同じもの(例えば橋)を作るとしても要する費用がまったく異なってしまう。すなわち建設工事という商品は、買い物をする方(発注者)は選択肢が少ない上に値段の高低が判断しにくく、また作る方(請負会社)は原価を一定にすることが困難であり、流通価格など無いに等しい。従って、工事費を確定するためには積算が必要となるわけである。 なお、国、地方自治体など官公庁が発注する工事においては、会計法(昭和22年法律第35号)などの法律に基づき、発注者が自ら積算を行って予定価格を定めて入札に付すが、民間会社が発注する工事においては、請負者が積算して作成する「見積書」をベースに協議によって契約することが多い。また、財政法 (1947)三五条。二「各省各庁の長は、予備費の使用を必要と認めるときは、理由、金額及び積算の基礎を明らかにした調書を作製し、これを大蔵大臣に送付しなければならない」としているが、工事の実費を正確に算出する方法、必要数量の算定、単価、間接費の算出によってなされる。これを積算法と呼ぶ。
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