種子の起源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 16:56 UTC 版)
種子を形成した最初の植物は古生代末期のシダ種子植物とされている。 化石として葉身表面に種子を並べたようなシダ植物的なものが発見されており、この仲間では杯状の種皮の中に、雌性前葉体が閉じこめられている。 普通のシダ植物は、葉の上に胞子を形成し、放出された胞子は湿った地面で発芽して前葉体となる。前葉体の下面に造精器、造卵器を形成、受精が起こる。受精卵は前葉体の上で発生を始め、植物体が成長する。 進化の道筋としては、恐らくそのような形から、精子のみを作る雄性前葉体と卵のみを作る雌性前葉体が分かれるものが現れたと考えられる。現在でも水生シダ類などにそのようなものがあり、雌性配偶子になる大胞子と雄性配偶子になる小胞子を別々の胞子のうの中に作る。更に、大胞子が胞子嚢から出る前に発生を始めるものが現れ、それを保護するための覆いが発達したのが種子の起源であると考えられる。このようなことになったのは、陸上生活する維管束植物の生活史の中で、前葉体の時代が最も水に依存するからと推定される。精子が卵の所まで泳がなければならない。そのためには水が必要になり、水がなければこの段階を超えられない。そこで、この段階を母植物の上で過ごしてしまう方向へ進化が進んだのであろう。精子を作る小胞子は、種子のそばで発芽しそこで精子を作れば、母植物の葉先の水滴だけで受精が可能になる。 種子の皮である種皮は、胞子嚢の袋とそれを守る皮からできている。未発達の種子を胚珠と呼ぶ。 受精した卵は母植物から栄養をもらってその場で発生を始め、小さな植物体にまで発達して休眠状態となる。そして種子が放出され、好適な場所に落ちるまでを待つことになる。 現生の裸子植物では、大胞子嚢をつける胞子葉はごく簡単な形のものが多く、ソテツの雌花に少しだけ葉の形の面影が見られる。それ以外のものでは鱗片状の形で、それが軸の周りに密に折り重なり、いわゆる松ぼっくりの形になっている。鱗片1枚を取り出すと、その上に左右1つずつの胚珠が並んでいる。 さらに、胚珠を胞子葉が包むようになったのが被子植物である。胚珠は子房という袋状の部分に納まり、小胞子(花粉)は胞子葉(めしべ)の特定の部分(柱頭)に付着して、胚珠まで花粉管を伸ばすことになった。
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