造精器
造精器
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/10 07:59 UTC 版)
シャジクモ類の造精器 (antheridium; globule) は極めて特異な構造をした球形の多細胞構造であり、精子 (spermatozoid, antherozoid) を形成する (図2a, b, c)。造精器は柄細胞 (pedicel cell) によって小枝の節についている。8個 (まれに4個) の楯細胞 (楯形細胞, 楯板, shield cells) が組合わさって球体の外壁を形成する。楯細胞にはカロテノイドが蓄積し、オレンジ色〜赤色になる (図2a)。各楯細胞から中心に向かって把手細胞 (マニューブリウム様細胞, 柄細胞; manubrium, pl. manubria) が伸びており、各楯細胞から伸びた把手細胞が中心部で集合しており、そこに8個の一次頭状細胞 (球状細胞, primary capitulum) がある。各一次頭状細胞から、造精器内の隙間に面して1〜2個の二次頭状細胞 (二次球状細胞, secondary capitulum) が形成される。各二次頭状細胞から、造精糸 (spermatogenous filament, antheridial filament) が生じる (図2c)。造精糸は単列の細胞糸であり、造精糸を構成するそれぞれの細胞から1個ずつ精子が形成される。 精子はシャジクモ類における唯一の鞭毛細胞であり、コケ植物の精子に類似している。精子は後方へ平行に伸びる2本の鞭毛をもち、らせん状にねじれ (図2c)、鱗片 (方形鱗片) で覆われている。精子の鞭毛装置は側方型であり、発達した多層構造体 (MLS) をもつ。精子が形成されると楯細胞が分かれ、そこから精子が放出される。 造精器の発生時には、最初に節部の細胞が不等分裂し、内側の細胞が柄細胞、外側の細胞が造精器母細胞になる。造精器母細胞が放射状に分裂して8個になり、各細胞が平層分裂して外側の細胞が楯細胞、中層の細胞が把手細胞、最内層の細胞が頭状細胞になる。
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