租税条約
【英】: tax treaty, tax convention
同義語: tax convention
国家間における課税権の調整を主要な目的として締結される条約である。 多国籍的に事業が展開される場合、その事業にかかわる法人や個人に関して、二つの国家が同一の納税義務者の同一の所得や財産に対して課税する国際二重課税が生じる可能性がある。それを防止するために、外国税控除などの国内的立法措置が講じられることも多いが、所得の源泉や範囲について、それぞれの国の法体系に基づく規定が相違する場合、二重課税や徴税漏れが不可避となる場合もある。したがって、国際的な資本、技術、人的資源の交流を促進するためには、国家間の合意に基づいてできるだけ統一された基準の下に課税が行われる必要がある。そこで課税の方法と範囲、両国間の税務協力などについて締結されるのが租税条約である。また先進国が発展途上国の経済開発に貢献するうえで重要な、いわゆる、みなし外国税額控除制度(tax sparing credit system)は租税条約を通じて講じられる措置である。石油企業の場合、産油国での開発、生産や主要消費地での精製、販売など多国籍的に事業を展開するケースが多い。多くの多国籍的石油企業の母国でもある米国は、かつて石油企業が産油国に納めるロイヤルティや所得税などに関して、国内法に基づいて外国税控除や減耗控除などの優遇措置をとってきたが、石油産業において租税条約に基づく税務処理が一般化したのは、1960 年代以降産油国が独立して近代国家としての体制を整えてからである。体制が異なり法規範が異なる場合、国家間折衝が難航する場合がある。最近の例では、中国沖合の開発に関して、米中国家間折衝が解決するまで、Arco 社の活動が棚上げされた例がある。ちなみにわが国は現在(1985 年 1 月現在)35 カ国との間に租税条約を締結している。 |

租税条約と同じ種類の言葉
Weblioに収録されているすべての辞書から租税条約を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。

- 租税条約のページへのリンク