日米租税条約
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/07 19:21 UTC 版)
日本が初めて所得税条約を締結したのは、第二次世界大戦後、サンフランシスコ講和条約により独立を回復した後、1954年、アメリカ合衆国との間の所得税条約であった。2003年、最大の経済上のパートナーであったアメリカ合衆国との所得税に係る租税条約を全面改訂した。原条約や旧条約は、日本が未だ途上国から先進国への発展過程にあった時代に締結されたものであったため、源泉地国課税に配慮した内容であったが、日本が先進国の仲間入りをし、海外進出が盛んになるとその弊害が喧伝されることとなった。 新条約においては、OECDモデル条約をその基礎としているといわれているが、必ずしもその内容はモデル条約と同一ではなく、OECDモデル租税条約を基礎としていると理解するのは困難である。さらに、両国で扱いの異なる事業体の条約上の位置づけに関する規定や条約特典制限条項のように他の条約にあまり類を見ないような画期的な内容も盛り込まれている。 まず、相互に投資所得(利子、配当、使用料など)に対する減免を行った。とくに、ライセンスなどの使用料所得については旧条約では10%とされていた制限税率を相互に免税(すなわち源泉地国では免税)としたことは画期的であり、今後両国間での投資促進への寄与が期待されている。 また、新条約は他の租税条約例よりもより有利な恩典内容となっていることから、租税条約の恩典を実際には享受すべきでない者がこれを悪用する、いわゆる条約あさり(treaty shopping)が想定されるため、これに対処すべく恩典を享受できる者について詳細な規定(上述の条約特典制限条項)が盛り込まれている。
※この「日米租税条約」の解説は、「租税条約」の解説の一部です。
「日米租税条約」を含む「租税条約」の記事については、「租税条約」の概要を参照ください。
- 日米租税条約のページへのリンク