秘密文書の捏造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/20 17:14 UTC 版)
1964年から1967年にかけて、パリのフランス国立図書館に『アンリ・ロビノーの秘密文書( Dossiers Secrets d'Henri Lobineau)』と題する偽造文書が、匿名者からの寄贈として合計6ヴァージョンが登録、保存された。羊皮紙ではなく、現代において作成された文書であった(現在はマイクロフィルムの形で、誰でも閲覧できる)。これにはシオン修道会にまつわる断片的で謎めいた資料が綴じられており、プランタールとその協力者であるフィリップ・ド・シェリセイ(Philippe de Chérisey)が捏造したものであった。 1964年に保存された最初の文書には、メロヴィング朝フランク王国の王族の家系が、現在まで継続している趣旨の内容が記されており、ダゴベルト2世の隠された血筋の末裔としてプランタール一族の名が記されていた。最初の文書には、アンリ・ロビノーという架空の人物の署名が為されていたが、第二と第三の文書はそれぞれ別の名の署名があり、レンヌ=ル=シャトーの謎について触れていたが、それはロベール・シャルー(Robert Charroux)の書籍から引き写したものであった。 第四の文書は最初の文書の内容を補う記述であった。第五の文書は、人を惑わせる『赤い蛇(Serpent Rouge )』という名で、奇妙な詩が記されており、1967年に登録された。この文書の作者とされる三人の人物は実在したが、文書が登録された直前にすべて死亡していた。三人は秘密の記録を残したあと、全員が暗殺されたか、自殺したとのシナリオをプランタールたちは捏造しようとしたと考えられる(これとよく似た設定が、ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』に出てくる)。最後の第六の文書の表題が『アンリ・ロビノーの秘密文書』で、これには、ロビノーについての情報が記されていた。 これらの一連の文書を通じて、プランタールは、自らがフランク王ダゴベルト2世の末裔であると主張した。また一部の文書は、レンヌ=ル=シャトーの教会修復のさいにベランジェ・ソニエール神父(Bérenger Saunière)が発見したものであるかのように装った。更に、11世紀に設立されたシオン騎士団(Ordre de Sion)が20世紀のシオン修道会へと続いていることや、メロヴィング朝の血脈が現在まで続いていることなどが示唆されていた。また、シオン修道会の歴代総長の一覧表などもあり、そこには歴史的に著名な人物の名が連ねられていた。
※この「秘密文書の捏造」の解説は、「シオン修道会」の解説の一部です。
「秘密文書の捏造」を含む「シオン修道会」の記事については、「シオン修道会」の概要を参照ください。
- 秘密文書の捏造のページへのリンク