科学や人文学との違い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 08:25 UTC 版)
「デザイン思考」の記事における「科学や人文学との違い」の解説
多くのデザイン分野はこれまで自然科学と人文学の中間に位置するものとカテゴリー分けされてきた。しかし、デザインは解決志向の問題解決、問題の定式化、総合、構築環境における最適化を通じて世界を独特の仕方で理解する固有の領域であると考えることができる。 デザイン科学(design science)の理論家の先駆けであるジョン・クリス・ジョーンズは、デザインは人文学、科学、数学のどれとも異なる分野であると1970年代の時点で主張していた。「デザインはアートなのか、科学なのか、それともある種の数学なのか?」という質問に対して、ジョーンズは次のように答えている。 最大の違いは「タイミング」である。アーティストも科学者も(現実的・記号的の別を問わず)「現在」存在している物理的な世界に対して働きかけている。一方で数学者は歴史的な「時間」からは独立した抽象的な関係を取り扱っている。他方のデザイナーは、想像された「未来」を現実のものとして扱い、「見たこともない」物事を現実化する方法を突き止めねばならないという宿命にある。 —John Chris Jones、Design Method デザインは教育において独自の文化として位置づけられる可能性を持っており、その方法と思考法はK-12(幼稚園から高校までの教育課程)だけでなく高等教育においても体系的に教えられることができる。ナイジェル・クロスは人文学、科学、そしてデザインの三者の差異を「デザイナー的に知識を得る方法(Designerly Ways of Knowing)」という論文で示そうとした。そこで彼は次のように各分野を比較している。 各分野の研究対象科学:自然界 人文学:人間の経験 デザイン:人工的世界 各分野の適切な方法科学:制御された実験、分類、分析 人文学:アナロジー、メタファー、評価 デザイン:モデル化、パターン化、総合 各分野での価値科学:客観性、合理性、中立性、「真理」への関心 人文学:主観性、想像力、コミットメント、「正義」への関心 デザイン:実践性、工夫、共感、「適切性」への関心
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