破産濫用防止・消費者保護法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 21:24 UTC 版)
2005年の破産濫用防止・消費者保護法 (BAPCPA)は、連邦倒産法を大きく修正するものであった。BAPCPAの多くの規定は、消費者金融業者から強く支持され、同時に多くの消費者保護論者、倒産法学者、倒産事件を担当する裁判官・弁護士から強い反対を受けた。BAPCPAは、連邦議会における8年間にわたる議論の末に制定されたものである。同法の多くの規定は、2005年10月17日に施行された。法律への署名に当たり、ジョージ・W・ブッシュ大統領は次のように述べた。 新法の下では、返済する能力のあるアメリカ国民は、少なくともその債務の一部を返済することが求められる。州の中位収入よりも低い国民は、債務の返済は求められない。新法により、何度も申立てをしている者は、最も寛容な破産の恩恵を濫用することが難しくなるであろう。全債務の帳消しを求める債務者は、これからは再度の申立てをするまでに前回の破産から8年間待たなければならない。新法により、我々は、破産の濫用者たちにどうすれば制度を悪用できるかを教えて金もうけをしている破産工場の連中を取り締まることができる。 個人破産法に加えられた多くの変更の中で、BAPCPAは、「資力基準」を導入した。これは、債務のほとんどが消費者負債である、多くの経済的に破綻した個人債務者にとって、連邦倒産法第7章の救済資格を得ることをより難しくしようとするものであった。しかし、その意図とは反対に、資力基準はしばしば債務者が免責を得ることを簡単にする結果を生んでいる。資力基準のため、又は連邦倒産法第7章では担保付き債権(抵当権や自動車ローン)の延滞に対する完全な解決ができないために、債務者が連邦倒産法第7章の救済資格を得られない場合であっても、債務者は依然として連邦倒産法第13章による救済を求めることができるのである。第13章による再建計画は一般の無担保債権(クレジットカード利用代金や医療費)に対する返済を要求しないことが多い。 また、BAPCPAは、破産の救済を求める個人に、破産の申立てをする前に、認可を受けた相談機関に債務内容の相談をすること、第7章又は第13章による免責を受ける前に、認可を受けた機関で家計のやり繰りについての教育を受けることを要求している。この債務相談要件の実施状況についての研究によれば、債務相談要件は、相談を受ける債務者にとってはほとんど実益がないことが示されている。多くの債務者にとって、唯一の現実的な選択肢は、倒産法による救済を求めることしかないからである。
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