知識の格納と操作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/26 07:07 UTC 版)
知識表現においては、与えられた仕事を成し遂げるために機械が使うことができるようにするために、いかにして知識を情報システムに格納して操作すればよいかという問題がある。そのような問題をもつアプリケーションの例として、エキスパートシステム、機械翻訳システム、Computer-aided Maintenance システム、情報検索システム(データベースのフロントエンドを含む)がある。 意味ネットワークは、知識表現に使われることがある。個々のノードは概念を表し、ノード間を結ぶ弧は概念間の関係を定義するのに用いられる。概念グラフは中でも最も古くからあるモデルである。意味ネットワークの系統で最も表現力が豊かで包括的な知識表現パラダイムとしてMultiNet(Multilayered Extended Semantic Networks、多層拡張意味ネットワーク)がある。 1960年代から、知識フレームまたは単に「フレーム」と呼ばれる表現が使われている。フレームは値を持つスロット群から構成される。例えば、「家」のためのフレームは「色」スロット「階数」スロットなどを含むだろう。 フレームは、「is-a」リンクで表される継承機能によってオブジェクト指向プログラミング言語のような使い方もでき、これを「フレーム」を使ったエキスパートシステムでよく使っていた。しかし、「is-a」リンクの使用については、少なからぬ矛盾があった。ロナルド・J・ブラックマンは「IS-Aは何であって、何でないか」と題した論文で、知識表現に関するプロジェクトで29種類の意味で「is-a」リンクが使われていることを示した。他のリンクとして「has-part」リンクなどもある。 フレーム構造は大まかな知識と型にはまった認識パターンの表現に適している。そのような大まかなパターンの要素は、個々に重み付けがなされ、スキーマの要素としてより典型的なものほど重要度が高くなる。パターンはある種の期待値に従って起動される。例えば、大きな鳥を見た者が「陸スキーマ」ではなく「海スキーマ」を起動していたら、その鳥をイヌワシではなくオオワシだと判断するだろう。 フレーム表現は意味ネットワークと同様にオブジェクト中心の考え方である。ある概念に関するすべての事実と属性が一箇所に置かれていたら、データベース内を手間をかけて検索する必要がない。 「行動スクリプト」は、事象を時系列に記述するフレームの一種である。通常、例としてあげられるのはレストランへ行くことの説明である。それには、席に案内されるのを待つとか、メニューを受け取るとか、注文するといったステップが含まれる。他にも意味表現力という観点では semantic spectrum と呼ばれる手法もある。
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