真正細菌の転写
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/22 20:40 UTC 版)
転写とは、ゲノムDNAにコードされる遺伝子本体およびその周辺領域がRNAポリメラーゼによって相補的なRNA鎖 (mRNA) に合成される過程である。必要な材料としては、 DNA依存性RNAポリメラーゼ(以降RNAポリメラーゼ) ゲノムDNA リボヌクレオチド が基本的な要素である。ポリメラーゼの反応などにはマグネシウムなどを要求する場合があるが、ここでは割愛する。ここで、真核生物と異なるところは、RNAポリメラーゼの構造である。大腸菌のRNAポリメラーゼは5個のサブユニットから構成されており、サブユニット名からα2ββ’σ構造(αサブユニット:2個、β:1個、β':1個、σ:2個)を取っている。 これらのサブユニットの役割は以下のようになっている。 αサブユニット:プロモーター配列(後述)への結合 βサブユニット:RNA合成開始前にリボヌクレオチドを先駆的に結合させる β’サブユニット:DNA配列への結合 σサブユニット:プロモーター配列の認識 αは無作為にプロモーター配列に結合するが、σサブユニットはその配列を認識して、発現に適当な遺伝子であるかどうか判断する。βおよびβ'はそれぞれが共役してRNAポリメラーゼ活性を発揮する。σサブユニットはプロモーター配列認識の際に必要であり、転写が始まるとRNAポリメラーゼから離れていく。RNAポリメラーゼに含まれるか否かで名称が異なっており、以下の名前で示される。 ホロ酵素:α2ββ’σ構造、ゲノムDNAのプロモーター配列認識の際に構成される形状 コア酵素:α2ββ’構造、転写の最中、および細胞内を遊離している状態の形状 σサブユニットの脱着は、転写反応に深く関係する。 転写反応は以下の段階に分類される。 開始 伸長(延長) 終結 これらの反応の詳細については、転写の項で述べる。
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