直指以前の金属活字
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 03:46 UTC 版)
直指よりも古い金属活字があったという説もあるが、結論は出ていない。李奎報の詩作集『東国李相国集』には、高宗21年(1234年)、崔允儀の集成した『詳定古今禮文』が活字で出版されたという記録がある。これが朝鮮最古の金属活字本ではないかと推定されているが、『詳定古今禮文』は現存しない。 2010年、高麗時代の仏教書籍『南明泉和尚頌証道歌』の印刷に使われたとみられる金属活字12個が発見されたという主張がなされた。この活字は発見者により「証道歌字」と命名されている。『南明泉和尚頌証道歌』は現在、木版による覆刻本(1239年印刷)だけが残っており、もし「証道歌字」が木版本の元となった金属活字本の印刷に使われた実物であったとすれば、これは高麗の金属活字術の遺物としては直指心体要節より少なくとも138年は古いものになる。しかし、出土地や伝来経緯が伝わらないまま古美術商やコレクターの間を流通してきたものであるため、年代や真偽を巡って議論が続いていた。 2015年に「証道歌字」をコンピュータ断層撮影した結果、内部と外部で密度や成分の違いが確認されたため、現代になって作成された偽造活字とされた。また、同年11月に行われた韓国書誌学会の秋季共同学術大会において、国立文化財研究所が2014年に刊行した活字調査の報告書である『證道歌字基礎学術調査研究』において、活字の一つの成分分析をした結果にテクネチウムが含まれていたほか、本来ならば検出されるべき鉛がなかったことが指摘され、活字の作成年代の真偽や報告書の正確性に疑念が呈されている。 2017年に韓国文化財庁が、書体比較や鋳造・組版を検証した結果、「証道歌」の印刷に使われた金属活字であると見るのは難しいとし、指定文化財にする価値を持たないとの結論を発表した[要出典]。
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