病的反射
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/05 04:55 UTC 版)
病的反射(びょうてきはんしゃ)とは、中枢側にある上位運動ニューロンが傷害され、その下位運動ニューロンに対する抑制が消失し、正常では認められないような反射が出現するようになること。ただし乳幼児では正常児にもみられ、発達とともに消失する。発達の評価にも用いられることがある。
- 下顎反射(Jaw jerk reflex)
- 反射中枢は橋である。口を軽く開かせて検者の手指を下顎にあて、この手指の上をハンマーで叩くと、下顎が動き口を閉じる。明らかに認められれば亢進である。運動ニューロン疾患にて重要である。
- 口すぼめ反射(Snout reflex)
- ホフマン反射(Hoffmann's reflex)
- 反射中枢はC8~T1である。手関節を軽く背屈位とし、検者は患者の中指末節をはさみ、母指で患者の爪の部分を鋭く掌側にはじくと、母指の内転運動が起こる。
- ワルテンベルク反射(Wartenberg's reflex)
- 反射中枢はC6~T1である。前腕回外位として手指を軽く屈曲位とし、検者の示指と中指を患者の4本の手指の上に横におき、その上を叩くと母指の屈曲運動がおこる。正常では欠如ないし極めて軽度である。
- バビンスキー反射(Babinski's reflex)
- 反射中枢はL4~S1である。
- チャドック反射(Chaddock's reflex)
- 反射中枢はL4~S1である。
- トレムナー反射(Tromner's reflex)
- 反射中枢はC6~T1である。手関節を軽く背屈位、手指を軽く屈曲位とし、患者の中指末節の掌側を検者の中指で強くはじくと、母指の内転運動がおこる。
関連
参考文献
- 脊椎脊髄ハンドブック 第2版 ISBN 9784895903578
病的反射
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 02:56 UTC 版)
上記の反射は日常生活の様々な場面で起こり、姿勢を保ったり、外傷に弱い臓器を守ったりする役に立っている。次に挙げるような病的反射は、定義から言うと腱反射または表在反射に分類できるが、上に挙げたようなものが「起こって正常」なのに対し、「起こると異常」であることから、臨床では別に扱われることが多い。 吸引反射 乳児が唇をこすられると、乳汁を飲むような動きが現れる。吸啜反射(きゅうてつはんしゃ)とも言う。成長と共に、いずれ消失する反射の1つであり、成人で起こると異常である。なお、食道閉鎖などの奇形が原因で食物を経口摂取できないなどが原因で、胃ろうを使うなどする必要が出てくる場合がある。その後、食道閉鎖などを手術で治して解剖学的には食物の経口摂取が可能になったとしても、この反射が消失する前までに食物の経口摂取をしていなかった場合、食物を経口摂取することは難しくなることが知られている。したがって、この反射が消失する前までに、食物の経口摂取ができる状態にすることが望ましい。 口とんがらし反射 クヴォステック徴候 トレムナー反射 手の中指をMP関節から背屈させておいて、中指先端手掌面を強くはじくと、その手の親指が屈曲する。健常人に起こることもあるが、片側性だと異常の可能性が大きい。 ホフマン反射(ホフマン現象) ワルテンベルグ指屈曲反射 ワルテンベルグ徴候 トルーソー徴候 低カルシウム血症・低マグネシウム血症・呼吸性アルカローシスの患者において、血圧計のマンシェットで上腕を圧迫すると(収縮期血圧以上で3分間以上)、「助産師の手」と呼ばれる特徴的肢位が出現する。 把握反射 赤ん坊が手に触れたものをつかむように握る反射のこと。 強制把握反射 手掌下顎反射 緊張性足底反射 間代 軸索反射 バルサルバ反射 バルサルバ効果(呼吸を止め力むことで、筋緊張が高まり想像以上の力が出たり、血圧が上昇したりする生理現象。)による直腸筋、腹筋、声帯、口唇などの筋緊張が、容易に、反射的に起こることをバルサルバ反射といい、そのメカニズムをバルサルバ機構という。呼吸や発声、自律神経(心拍、血圧など)に病的な症状を引き起こすことがある。例:吃音症。 なお、条件反射についても、一部のあがり症、吃音症、痴漢、パチンコ依存(パチンコの音を聞いただけで身体がパチンコ店の方を向いてしまう)などは、条件反射付けられた病的な症状との説が提示されている。
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