異話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 00:46 UTC 版)
異本としては、エマニュエル・コスカン(英語版)編ロレーヌ地方民話集に所収される例(原話1886年、和訳「クマのジャン」)などがある。この稿本は、民話分類学の大家であるスティス・トンプソンの民話百選にもその英訳が所収されている。ここでは仲間は3人加わる。 熊のジャンは、たいがいの話例では、人間の母親と雄熊との間に生まれるが、コスカン版のように、もともと妊娠中だったのに、熊にさらわれて出産したら半熊半人に生まれたという説明もある。また(フランス語の類例は少ないが)、雌熊に養われて熊のような怪力をつけた主人公のケースもある(バスク版を参照)。 杖の重さは、500 リーブルとされる他、10,000リーブルという例がプロヴァンスにみられ、これは100キンタルの例(プロヴァンス語の話例)と一致する。さらには100,000リーブルの杖が、ブルターニュ地方(「イーヴとその鉄杖」)に見られる。 この「イーヴとその鉄杖」や、リュゼル(英語版)訳「鉄杖のジャン」では、主人公が熊と関係がなくなっており、ドラリュが「フランス語の話群から外れた外縁的な」ものに属する。要するに亜流であるのだが、地元ブルターニュ地方では、本来ケルト語族のブルトン語で民話が受け継がれている。上の2例ではフランス語で発表されているが、「鉄杖のヤン」のように、ブルトン語が併記された場合もある。 「幽霊屋敷」で遭遇する敵は、小人や「小さな巨人」、悪魔である。下界に行く悪魔が多数いる場合もよくある。悪魔が脱出手段を教える場合もあるが、別に老婆などが居て教わることもある。 下界からの脱出法としては、巨大な鳥に乗って飛び去るのが典型で、鳥の種類は鷲が一般的だが、ロック鳥の例もある。また、妖精から脱出口の道を教わるが、背後の小さな光を振り返ってはならないという忠告を受けるのは、コスカン版の特有の要素である。
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