環境への影響と緩和
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/16 05:25 UTC 版)
塩化ナトリウムや塩化カルシウムのような除氷用の塩は、土壌にまで到達する。そして、イオン、特に陽イオンが増加し、土壌中の動植物にとって毒となる。また、化学薬品は生態系に毒となる濃度で水域にも到達しうる。有機化合物は生分解され、酸素欠乏状態の原因にもなりうる。水の循環に時間がかかる小さな川や池は特にもろい。 エチレングリコールやプロピレングリコールは、表層水で生分解が起きる際に、高水準のBOD (生物化学的酸素要求量) を必要とすることが知られている。このプロセスは、水生生物が生きるのに必要な酸素を消費してしまうので、水生生物に悪影響を与える。 微生物がプロピレングリコールを分解する際、海中でDO (溶存酸素量) が大量に消費される:2–23。 表層水に充分な溶存酸素量があることは、魚や大型無脊椎動物、その他の水生生物の生存にとって非常に重要である。もし酸素濃度が最低水準以下に低下すると、移動する能力を持ち、かつ状況が許すなら、生物は高い酸素濃度の場所へ移動する。さもなければ、やがて死に至る。この効果は利用可能な水生生物の量を劇的に減らしうる。溶存酸素量レベルの低下は、水底生物の数を減らしたり絶滅させたりしうる。このことは、生物群における種の分布の変化を促す状況を作り出したり、重要な食物連鎖作用を作り替えたりすることになる:2–30。 2002年1月上旬のアトランタでの大雪は除氷システムをあふれさ、すぐにフリント川(英語版)のアトランタ空港の下流域が汚染された。 いくつかの空港は除氷剤をリサイクルすることで、水や土壌の汚染を切り離し、薬剤の他用途への再利用を可能にしている。また、施設内に排水処理設備を持ち、集められた液体を自治体の汚水処理場や民間の排水処理施設へ送る空港もある:68–80 。 除氷剤の毒性も同様に環境問題であり、非グリコール系のような低毒性の代替剤を発見する研究が進行中である。
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