理論の統語論的な捉え方と意味論的な捉え方
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/24 17:37 UTC 版)
「バス・ファン・フラーセン」の記事における「理論の統語論的な捉え方と意味論的な捉え方」の解説
20世紀前半の支配的な経験論流派だった論理実証主義と異なり、ファン・フラーセンは理論の意味論的捉え方 (semantic conception of theories) に基礎を置いている。論理実証主義の立場では、科学的理論とは何よりもまず内的一貫性を第一の特徴とする言表の総体であるということが強調され、どの文からどの文が導き出せるかといった、科学理論の構文論的な分析が中心的な関心を集めた。これに対してファン=フラーセンの意味論的なアプローチでは、科学理論は非言語的なモデルととらえられ、通常理論だと考えられている言語的な表現はそのモデルを言語化したものだと見なされる。同じモデルに対して、それを文の集合によって表現する以外にもさまざまな仕方で表現することが可能である。 この力点の違いは、20世紀に起こった論理学の転換と類比的なものである。論理学上の構文論的な概念は基本的に記号の働きを意味するが、記号間の相互関係を、その意味に関する考察抜きで検討すべきだ、という考え方が第二次世界大戦前の形式主義的論理学やヒルベルト学派によって強く主張された。 理論モデルへのアプローチは1960年代・1970年代になって再燃したものであり、このアプローチからモデル、同型性、基数といったファン・フラーセンの科学哲学の鍵概念が生じるのである。
※この「理論の統語論的な捉え方と意味論的な捉え方」の解説は、「バス・ファン・フラーセン」の解説の一部です。
「理論の統語論的な捉え方と意味論的な捉え方」を含む「バス・ファン・フラーセン」の記事については、「バス・ファン・フラーセン」の概要を参照ください。
- 理論の統語論的な捉え方と意味論的な捉え方のページへのリンク