現代の蒸気船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 02:22 UTC 版)
推進機関のディーゼル化やガスタービン化が進み、蒸気によって推進する船は比較的少数の限られた船種や艦種だけになっている。 大型LNGタンカー LNGタンカーの登場初期から輸送貨物であるLNGが輸送中に蒸発した天然ガス(ボイルオフガス、BOG)を蒸気タービンエンジンの燃料とされてきたが、21世紀初頭現在ではLNGの価値が高まったために、BOGの再液化によって輸送液量を減らさず、他の大型貨物船と同様にA重油やC重油を使った低速回転2ストロークディーゼルエンジンを採用する船が多くなってきている。 原子力空母、原子力潜水艦、砕氷船 原子力空母では原子炉で造られた高熱で蒸気を発生させてタービンを回す。原子力発電に似た推進プラントは航続力を半永久的なまでに伸ばせるので長距離を高速移動する軍艦には向く。特に空母ではカタパルトを動かす際に蒸気の残量を考慮せずに済む上、排煙や煙突による気流の乱れを考慮せずに済む、電力に余裕があるので機器や艦載機の更新に対応しやすい、重油を搭載せずに済むので弾薬や航空機を搭載するスペースが広く確保できるなどのメリットがある。原子力潜水艦では酸素を必要としないのでさらに適する。ロシアの数隻の砕氷船は軍艦と同様に原子力プラントを備える。 保存船 世界各地の保存団体や愛好家の間で現在でもレシプロ式の蒸気船が運航される。新たに建造される例もある。日本では2000年代初頭に青森のみちのく北方漁船博物館で『みちのくロードアイランド号』が運行された。2016年現在は『青い風号』が、青函連絡船メモリアルシップ八甲田丸などを運営する特定非営利活動法人“あおもりみなとクラブ”によって運行されている。他に2000年代に愛好家によって『PINOCCHIO号』、『英光丸』が建造された。 アトラクション ディズニーパークのアトラクションとして、パーク内で閉じた環状の「アメリカ川」を周遊する「蒸気船マークトウェイン号」が運航されている。因みに東京ディズニーランドで見られるものは、日本製の蒸気船としては最も新しい蒸気船である。
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