独裁色を増す
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/28 14:10 UTC 版)
マドゥロ政権が独裁色を強めるきっかけとなったのは、2015年12月の国民議会選挙である。この選挙の結果、反マドゥロ政権の野党が三分の二(167議席中112議席)を占めたことで以降国民議会を使った立法行為が不可能となったマドゥロ政権は、自身の影響下にある最高裁判所(スペイン語版)を使って国民議会の立法権を制限する様々な手段を打つようになった。例えば国民議会が可決させた法律を大統領が「違憲判断のため」として最高裁に送り、最高裁に違憲判断を出させて立法を無効化する方法である。2016年1月から4月に国民議会が可決させた5つの法案は全て最高裁に送られ、そのうち4つが「違憲」として無効化されている。また最高裁はアマソナス州選出の3人の野党議員に「不正選挙があった」として公務就任権を認めず、2016年7月にこの3人が国民議会で宣誓すると最高裁は「最高裁の決定を尊重しない限り国民議会は法的有効性をもたない」と宣言。以降マドゥロ政権はこの「3人問題」を理由に国民議会を無視して最高裁に立法権を代行させるようになった。予算案も国民議会ではなく最高裁に提出して承認させている。 2016年4月、国民議会は大統領罷免の前提条件となる国民投票の実施を議決したが、軍・警察と共に統一社会党を支持する司法組織は「手続きの不備」を理由に却下した。同月23日、南米諸国連合議長に就任し、9月17日にはイランのハサン・ロウハーニー大統領から非同盟運動の議長職を引き継いだ。 2016年12月、中国企業のZTE と共同開発した国民監視用ICカード「祖国カード」を発表した。 2017年3月29日には最高裁が「3人問題」を理由に国民議会の立法権をはく奪し、最高裁が立法権を引き継ぐことを決議し、国内の反政府運動が激化した。国際社会からも強い批判を受けたため、マドゥロの要請で撤回された。しかし憲法秩序を重んじない政府と最高裁に対する国民の怒りは収まらず、2017年4月から反政府デモが激化した。
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