演出スタイル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 18:15 UTC 版)
遠近の使い分け、つまり役者の顔面のクローズアップの多用と、そこに遠景を巧みに織り込んだ緻密な画面構成に特徴がある。クライマックスに至るまでのゆったりとした長回し、ダイナミックに演出されたアクションシーンがその後に続くといった特徴もある。レオーネが影響を受けた先行する映画監督としてはジョン・フォードや黒澤明などが挙げられる。また、下積み時代に『自転車泥棒』(1948年)といったネオレアリズモの名作の製作に携わったことも貴重な経験になったと、後年レオーネは述べている。 様式化された西部劇の世界に、ネオレアリズモの流れを汲む即物的な暴力描写や派手なガンファイトを持ち込んだマカロニ・ウェスタンをレオーネは製作した。それらは当初アメリカでは蔑視されたが、後に逆に影響を与えることになる。レオーネ作品に特有の生々しい暴力描写や乾いた作風、男同士の友情と裏切りといったモチーフは、西部劇のみならず後世のアクション映画の監督たちにも刺激を与えた。クエンティン・タランティーノ、ジョン・ウー、ロバート・ロドリゲス、アレックス・コックスといった錚々たる顔ぶれがレオーネに対するリスペクトを表明している。日本では東映のヤクザ映画や時代劇、アニメに影響を与えた。 映画中ではしばしば登場人物のフラッシュバックが効果的に用いられる。特に印象深いのが『夕陽のガンマン』におけるエル・インディオの悪夢、『ウエスタン』におけるハーモニカの回想、『夕陽のギャングたち』におけるジョン・マロリーのアイルランド時代の思い出などである。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ではヌードルスの1920年代と1930年代の記憶が、現代のシーンと交錯するという手法が取られた。 また、イタリア出身であるだけにオペラの影響があるとされる。
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