測定可能性、測定原理の存在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 04:44 UTC 版)
「科学的方法」の記事における「測定可能性、測定原理の存在」の解説
科学史研究者の岡本拓司(東京大学)の文章には「測れるもののみが科学の対象」と書かれていた。これはポアンカレが述べた言葉の引用と思われる。同様の趣旨で、「測る」というとがやや難しくなる社会科学の領域でも概念操作化」 (Operationalization) という言葉が用いられる。「概念操作化」とは、リサーチクエスチョン(研究を通じて明らかにしたい問いのこと)を、「実験」や「調査」を通じて検証可能なレベルにブレイクダウンする過程のことである。このように理系文系の両方において、「測定原理の存在」/「概念操作化」が重視されていることから判るよう、科学的な方法を論じるうえでオーソドックスな考え方であることが想到されよう。 測れることを保証するためには、適切な測定手段が必要である。適切な測定手段の実現には、正しい測定原理と、それを実現する適切な装置構成、適切な精度評価が必要である[要出典]。物理学や化学では、測定原理の妥当性の評価が比較的行いやすい対象が研究対象になるが、それでも最先端では、測定原理の妥当性や、装置構成の妥当性に対し議論が生じる場合もある(#証拠の節も参照のこと)。 科学には「理論物理学」のような理論分野も存在するが、理論分野においても検証手段としての実験方法の提示は、極めて重要である[要出典]。但し、検証手段は必ずしも、現在の技術で実現できるものである必要はない。例えば、量子力学における不確定性の概念は、ハイゼンベルクが提案した顕微鏡による電子の位置と運動量の測定実験のように、思考実験による検証に端を発する[要出典]。さらに、特に工学においては複素電界のような、「実在しない量」(測定することが不可能な量)が当たり前のように使われている場合もある。複素電界自体の定義は光学の初歩中の初歩であるため専門書に解説を委ねるが、このような実在しない“物理”量を作ることで、光の干渉等の一部の物理現象が数学的に簡単に取り扱えるようになる。このような場合には、「測定できない」という意味で実在しない量も科学的理論として認められる場合もある。尚、電磁ポテンシャルのように、元々は「実在しない量」(数学的な便宜のために導入された“物理”量)と思われていたものが、外村彰によってアハラノフ=ボーム効果の実証がなされたことによって「実は実在する量であった」ことが後に判明したというケースもある。 「電磁ポテンシャル」および「アハラノフ=ボーム効果」も参照
※この「測定可能性、測定原理の存在」の解説は、「科学的方法」の解説の一部です。
「測定可能性、測定原理の存在」を含む「科学的方法」の記事については、「科学的方法」の概要を参照ください。
- 測定可能性、測定原理の存在のページへのリンク