液状化のプロセス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 22:44 UTC 版)
砂を多く含む砂質土や砂地盤は、砂の粒子同士の剪断応力による摩擦により地盤が安定を保っている。このような地盤で、地下水位の高い場所もしくは地下水位が何かの要因で上昇した場所で、地震や建設工事などの連続した振動が加わると、その繰り返し剪断によって体積が減少し、間隙水圧が増加し、その結果、有効応力が減少する。これに伴い剪断応力が減少して、これが0になったとき液状化現象が起きる。このとき地盤は急激に耐力を失う。 またこのとき、間隙水圧は土被り圧(全応力)に等しい。この状態は波打ち際などで、水が押し寄せるまでは足元がしっかりしていても、水が押し寄せた途端に足元が急に柔らかくなる状態に似ている。また雨上がりの地面を踏み続けると、地面に水が吹き出てくる状態にも似ていると言える。 地震や建設工事などにより連続した振動が砂地盤等に加わると、液状化現象が生じ、地盤は急激に支持力を失う。建物を地盤に固定する基礎のうち、礫層や岩盤等の適当な支持層に打ち込む支持杭と異なる摩擦杭では、建物を支えていた摩擦力を失い、建物が傾く不同沈下を起こす場合がある。重心の高い建物や、重心が極度に偏心した建物では、より顕著に不等沈下が生じ、転倒ないし倒壊に至る場合がある。 この転倒は(建物自体が途中で壊れなければ)ゆっくりしたもので、新潟地震で倒れた県営住宅で地震に遭った人の証言では、「家はゆっくりと船が沈むように傾き、そのため(建物が横倒しになったのに)けがをせずに済んだ。」という。 下層の地盤が砂質土で、表層を粘土質で覆った水田等で液状化が起きた場合は、液状化を起こした砂が表層の粘土を突き破り、水と砂を同時に吹き上げるボイリング(英語版)(噴砂)と呼ぶ現象を起こすことがある。1964年の新潟地震では、県内の各地でボイリングが観測された。 地震に伴って液状化が発生しうる地点の震央距離 R(km)とマグニチュード M の関係は、 log R = 0.77 M − 3.6 {\displaystyle \log R=0.77M-3.6} で表すことができるとされている。
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