消費者向け製品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 01:22 UTC 版)
新しく購入したソファや椅子のフマル酸ジメチル接触アレルギーが関係していると思われる重度の接触皮膚炎の事例がある。フマル酸ジメチルは、非常に低濃度においてアレルギー感作剤であることが明らかにされており、治療が困難な接触アレルギーによる湿疹を生じる。濃度が1 ppmと低い場合でも、最も重篤な症例でアレルギー反応を引き起こす可能性がある。同じように強力な感作物質は、ほんの一握りしかない。 感作リスクが世間の注目を集めたのは、中国のメーカーであるLinkwise社が、保管や輸送中のカビを抑制するために内部にDMFの小袋を入れた2人掛けソファを製造した「ポイズンチェア」事件がきっかけであった。2006年から2007年にかけて販売されたフィンランドでは、60人のユーザーが重度の発疹に見舞われた。原因はフィンランドのTapio RantanenによってDMF誘発性アレルギー反応と特定され、原著論文はBritish Journal of Dermatologyの2008年7月号の表紙となった。イギリスでは、アルゴス(英語版)、ランド・オブ・レザー(英語版)、Walmsley Furnishingが販売したソファに本化学物質が含まれていたため、100人以上が被害を受けた。アルゴスは、店舗からソファを引き上げ、販売されていたものを回収するために購入者に連絡した。ランド・オブ・レザーは、購入者に通知することなくソファを店頭から引き上げ、Walmsleyは、危険性が明るみに出た後、彼らが販売したソファから小袋を削除したと述べた。BBCの番組ウォッチドッグ(英語版)が2008年にソファについて消費者を警告したことで、危険性が世間の注目を浴びるようになった。 欧州連合(EU)では、1998年から消費者向け製品の製造におけるDMFの使用が禁止され、2009年にはDMFを含む消費者製品の輸入も禁止された。2009年3月17日のEU委員会決定2009/251は、加盟国に対し、2009年5月1日以降、DMFを含む消費者製品が市場に出回っていないことを確実にするよう求めた。これにより、EU域内でのDMFを含有した消費者向け製品の販売が無条件に禁止された。決定2009/251で定められたDMFの禁止は、製品中のDMF濃度の最大値を0.1 ppmと定めたものである。同決定では、0.1 ppmを超えるDMFを含む消費者製品は市場から回収し、消費者からリコールされるべきであるとしている。
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