河野哲也とは? わかりやすく解説

河野哲也

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/09 19:05 UTC 版)

河野 哲也(こうの てつや、1963年 - )は、日本の哲学者立教大学文学部教育学科教授。

べてるの家(北海道浦河郡)にて研究活動を行なっている。

略歴

1985年3月 慶應義塾大学文学部(哲学科哲学専攻)卒業。 1987年3月 同大学院文学研究科修士課程(哲学)修了、同博士後期課程進学。 1993年3月 慶應義塾大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。 1995年7月 博士(哲学)(慶應義塾大学)(学位論文『メルロ=ポンティの意味論』)。

1997年 防衛大学校人間文化学科助教授。 2004年 玉川大学文学部人間学科助教授。 2008年 立教大学文学部教育学科教授。

人物

  • カント研究者で哲学者の寺田俊郎は、「カントは『汝の人格やほかのあらゆる人の人格のうちにある人間性を、いつも同時に目的として扱い、決して単に手段としてのみ扱わないように行為せよ』と言ったが、彼にとって、人間は、結局のところ、手段でしかないのだろう」と批判した[1][2]
  • 郡司ペギオ幸男塩谷賢は、「彼は権力に執着しすぎているため、周りを不幸にしている」と対談の中で述べた[要出典]
  • フランス思想研究者の清水高志は、「ミシェル・セールの『自然契約』やブリュノ・ラトゥールについて延々語る授業をやっていて、ボードリヤールやら何やら色々詰め込んで語っていたのだが、レポートを書いてもらうと今年から河野哲也氏がどこかで自然契約についてちょっとだけ触れた文章が出てくるようになって、話が本当に小さなSDGsみたいな月並な議論に学生が一部引き寄せられて、複雑な議論がごっそり抜けてしまって大変困っている。何か絵画にトマトスープをかける活動家くらい迷惑な感じだ。ヒトペディア公害以上にひどい。」と訴えている[3]
  • 哲学者の檜垣立哉は、「哲学対話とか哲学プラクシスとかp4c」について、「自分はそれにまったくのれない」。「対話を拒絶するところで初めて成立する対話というものがある。安易な実践は、そうした薄ぐらい何かを明るく消しているようにしかおもえない」と評している[4]

著作

単著

    • 『レポート・論文の書き方入門』(慶應義塾大学出版会) 1997年
    • 『メルロ=ポンティの意味論』(創文社) 2000年
    • 『エコロジカルな心の哲学:ギブソンの実在論より』(勁草書房) 2003年
    • 『環境に拡がる心:生態学的哲学の展望』(勁草書房) 2005年
    • 『<心>はからだの外にある』(NHKブックス) 2006年
    • 『善悪は実在するか アフォーダンスの倫理学』(講談社選書メチエ) 2007年
    • 『暴走する脳科学 哲学・倫理学からの批判的検討』(光文社新書) 2008年
    • 『意識は実在しない 心・知覚・自由』(講談社選書メチエ) 2011年
    • 『エコロジカル・セルフ』(ナカニシヤ出版、クロスロード・パーソナリティ・シリーズ) 2011年
    • 『道徳を問いなおす リベラリズムと教育のゆくえ』(ちくま新書) 2011年
    • 『「こども哲学」で対話力と思考力を育てる』(河出書房新社) 2014年
    • 『境界の現象学 始原の海から流体の存在論へ』(筑摩書房) 2014年 ISBN 978-4-480-01602-7
    • 『現象学的身体論と特別支援教育: インクルーシブ社会の哲学的探究』(北大路書房) 2015年 
    • 『いつかはみんな野生にもどる:環境の現象学』(水声社) 2016年 
    • 『じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン』(河出書房新社) 2018年
    • 『人は語り続けるとき、考えていない 対話と思考の哲学』(岩波書店) 2019年
    • 『対話ではじめるこどもの哲学 道徳ってなに?』全4巻(童心社) 2019年
    • 『問う方法・考える方法 「探究型の学習」のために』(ちくまプリマー新書) 2021年
    • 『間合い 生態学的現象学の探究』(東京大学出版会、知の生態学の冒険 J・J・ギブソンの継承 2) 2022年

共編著

  • 『組織不正の心理学』(蘭千壽共編、慶應義塾大学出版会) 2007年
  • 『大学生のための「読む・書く・プレゼン・ディベート」の方法』(松本茂共著、玉川大学出版部) 2007年
  • 『環境のオントロジー』(染谷昌義, 齋藤暢人共編著、春秋社) 2008年
  • 『科学技術倫理学の展開』(石原孝二共編、玉川大学出版部) 2009年
  • 『自立と福祉』(庄司洋子, 菅沼隆, 河東田博共編、現代書館) 2013年
  • 「知の生態学的転回」全3巻(村田純一, 佐々木正人, 染谷昌義共編、東京大学出版会) 2013年
    1. 『身体』
    2. 『技術』
    3. 『倫理』
  • 『子どもの哲学』(土屋陽介, 村瀬智之, 神戸和佳子共著、毎日新聞出版) 2015年
  • 『この世界のしくみ 子どもの哲学 2』(土屋陽介, 村瀬智之, 神戸和佳子, 松川絵里共著、毎日新聞出版) 2018年
  • 『ゼロからはじめる哲学対話』 (河野哲也編、ひつじ書房、哲学プラクティス・ハンドブック) 2020年
  • 『アフォーダンス: そのルーツと最前線』(田中彰吾共著、東京大学出版会、知の生態学の冒険 J・J・ギブソンの継承 9) 2023年

翻訳

  • 『心と身体の哲学』(スティーヴン・プリースト、木原弘行共訳、勁草書房) 1999年
  • 『ギブソンの生態学的心理学:その哲学的・科学史的背景』(T・L・ロンバード、古崎敬, 境敦史と監訳、勁草書房) 2000年
  • 『企業倫理学 2』 (T・L・ビーチャム, N・E・ボウイ編、共訳、梅津光弘監訳、晃洋書房) 2001年
  • 『大学で学ぶ議論の技法』(T・W・クルーシアス, C・E・チャンネル、杉野俊子, 中西千春共訳、慶應義塾大学出版会) 2004年
  • 『ギブソン心理学論集:直接知覚論の根拠』(J・J・ギブソン、境敦史共訳、勁草書房) 2004年
  • 『心を名づけること:心理学の社会的構成』(カート・ダンジガー、監訳、勁草書房) 2005年
  • 『質的心理学研究法入門 リフレキシビティの視点』(P・バニスター, E・バーマン, I・パーカー, M・テイラー, C・ティンダール、五十嵐靖博と監訳、田辺肇, 金丸隆太共訳、新曜社) 2008年
  • 『感情と法 現代アメリカ社会の政治的リベラリズム』(マーサ・ヌスバウム監訳、木原弘行, 石田京子, 齋藤瞳, 宮原優, 花形恵梨子, 圓増文共訳、慶應義塾大学出版会) 2010年
  • 『中学生からの対話する哲学教室』(シャロン・ケイ, ポール・トムソン、監訳、安藤道夫, 木原弘行, 土屋陽介, 松川絵里, 村瀬智之訳、玉川大学出版部) 2012年
  • 『スティル・ライブズ』(ジョナサン・コール、松葉祥一共監訳、稲原美苗, 齋藤瞳, 宮原克典, 宮原優共訳、法政大学出版会) 2013年
  • 『探求の共同体:考えるための教室』(マシュー・リップマン、土屋陽介, 村瀬智之共監訳、玉川大学出版部) 2014年
  • 『クレイジー・イン・ジャパン』(カレン中村、石原孝二共監訳、飯塚理恵, 池田喬, 稲原美苗, 片岡雅知, 高江可奈子, 高崎麻菜, 水谷みつる訳、医学書院) 2014年

脚注

  1. ^ 上智学院教員教育研究情報データベース”. redb.cc.sophia.ac.jp. 2023年5月29日閲覧。
  2. ^ 寺田俊郎先生”. こんな研究をして世界を変えよう. 2023年5月29日閲覧。
  3. ^ https://twitter.com/omnivalence/status/1601971012257865729?s=46&t=FG2gNb25UELTXyVMwbs9-w”. Twitter. 2023年5月29日閲覧。
  4. ^ https://twitter.com/kumatarouguma/status/1658180973610287105?s=46&t=FG2gNb25UELTXyVMwbs9-w”. X (formerly Twitter). 2023年10月18日閲覧。




固有名詞の分類

このページでは「ウィキペディア」から河野哲也を検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から河野哲也を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から河野哲也 を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「河野哲也」の関連用語

河野哲也のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



河野哲也のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの河野哲也 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS