水上艦艇の魚雷発射管
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/20 05:47 UTC 版)
水上艦における発射管は魚雷の発射と、特に現代においては装填した魚雷の保護筐体として発射管が用いられる。発射には圧搾空気により魚雷を射出する方法等がある。初期の魚雷艇や短魚雷装備艦艇では発射管を用いず、管状ではない射出装置などにより側方や後方に魚雷を投下する方法を取っていたものもあった。水線上に装備した水上発射管がほとんどであるが、一部にはネルソン級戦艦など水中発射管を装備していた艦艇もある。 魚雷は大航海時代より重用されていた大砲の砲弾などよりも炸薬量が多く、弱い水線下に命中して浸水を起こす効果も大きい。砲熕兵器が威力に応じて巨大化してしまうのに対して、魚雷発射管は簡便軽量である特性を活かし、水雷戦が重視されていた第二次世界大戦においては、単装、連装や3連装、さらには5連装の水上発射管も開発・装備されていた。 長門型戦艦の新造時やコロラド級戦艦にも装備されていたが、戦艦の装備としては艦の機動性や主砲射程との関係よりあまり有効な装備ではなかった。そのため、長門型では改装時に撤去している。 発射管は固定式と旋回式があり、日本海軍の駆逐艦や巡洋艦では旋回式が用いられ、ドイツ海軍のSボートなどでは前方へ向けた固定式が用いられた。しかし、射程、速力共に優り砲弾より炸薬量の多い対艦ミサイル(艦対艦ミサイル)の発達に伴い、水上発射管は衰退した。日本における水上艦艇への攻撃を想定した水上発射管は、魚雷艇PT-15号(平成7年3月除籍)が最後である。 現在、アメリカ海軍や海上自衛隊の艦船は、潜水艦への攻撃を目的としたMk 32 短魚雷発射管(68式3連装短魚雷発射管)などを装備している。
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