歴史と製法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/25 08:58 UTC 版)
灰持酒の原型は、奈良時代以前から醸造されていた御神酒などに使われる黒酒(くろき)であり、これは米麹に飯と水を入れて発酵させた後、常山木の根の灰を加えてできる。この製法は基本的に今の灰持酒にも受け継がれている。 元来の酒は酸性であるが、灰持酒は灰のアルカリ性で中和されるため、腐敗の原因となる好酸性の細菌の育成が阻害される。また酒の成分であるアミノ酸と糖のメイラード反応(アミノカルボニル反応)を促進して次第に赤みを帯び、独特の風味も醸し出される。なお灰は、加えた後、清酒と同様に絞る(濾過する)ので残らない。 灰を入れて細菌の繁殖を抑え日持ちさせるのが「灰持酒」の名の由縁である。対して、一般的な清酒は江戸時代から、加熱による低温殺菌を行ったことから「火持酒」と称される。灰持酒は製法に改良が加えられて西日本を中心に各地で醸造され続け、戦時統制により原料の供給を絶たれたため一時途絶えてしまったが、後に復活している。 現在は飲用としては勿論、独特の甘さと風味を持つことから味醂の代わりとなる調味酒として使用されることも多い。なお名称は醸造されている地方ごとに別々の名が付けられている。
※この「歴史と製法」の解説は、「灰持酒」の解説の一部です。
「歴史と製法」を含む「灰持酒」の記事については、「灰持酒」の概要を参照ください。
- 歴史と製法のページへのリンク