武道用の木刀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/03 16:17 UTC 版)
古武道の剣術では主に木刀を使って稽古をしている。頭部を打てば生命に関わるなど非常に危険なため、江戸時代に試合稽古用として竹刀が登場したが、形稽古は専ら木刀が用いられた。現代の剣道においても日本剣道形の稽古は木刀を使用する。 現在、武道用の木刀は9割が宮崎県都城市において製造されている。材質は赤樫、本赤樫や白樫が多いが、黒檀、蚊母樹、枇杷などの高価な素材のものもある。赤樫(一位樫)は軽いが強く打ち合うと折れやすく、白樫は折れにくいがささくれやすい。本赤樫は樫の中では一番強く、打ち合いにも素振りにも向いているといわれている。黒檀やスヌケのような粘りのない硬い木材は割れやすく、鉄刀木や鉄木(紫黒檀・ウリン)のような粘りのある硬い木材は強く打ち合った際にささくれが生じやすい。そのため、打ち合いにはビワが最も良いとされているが、現在は極めて高価である。なお、木目が乱れているものの方が打ち合いでは強靭であるという。鍔は木製、プラスチック製、皮革製などがある。 剣道や稽古人数が多い一部有名剣術流派の木刀は市販されているが、専門の木刀職人に流派独特のものを注文することもある。流派により長さなどは異なり、直心影流剣術や天然理心流剣術のように通常の真剣以上の重さにし、太く作る事で、正確な手の内を鍛える事等を目的とした、鍛錬用の木刀も存在する。示現流や薬丸自顕流では蚊母樹(柞:ユスノキ)の木の枝葉を取り、適当な長さで切り、乾燥させたのみで一切加工しない木刀を使用する。また打ち込み練習の相手用に長木刀(ながぼくと)というかなり長いが同じく無加工の柞製の棒に太い紙縒製の鍔を取り付けた木刀を用いる。 抜刀術、居合道では入門直後の初心者は木刀で稽古し慣れたら直ちに模擬刀で稽古するが、極一部の居合術流派(江戸時代以来の流派)は鞘木刀で稽古をしている。
※この「武道用の木刀」の解説は、「木刀」の解説の一部です。
「武道用の木刀」を含む「木刀」の記事については、「木刀」の概要を参照ください。
- 武道用の木刀のページへのリンク