正の効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 15:02 UTC 版)
雪氷は地球のアルベド(反射能)を増大させ、太陽エネルギーの多くを反射し、あまり吸収しない。したがって、気温が低下すると、雪氷原が成長し、正のフィードバック効果は、負のフィードバック機構との競合で地球システムを平衡状態に至らせるまで続く。また、氷床の拡大がもたらす森林の減少がアルベドを増大させる[要出典]。 1956年に Ewing と Donn が提唱した別の理論は、氷のない北極海は高緯度地域の降雪量を増やすという仮説である。低温の氷が北極海を覆うとき、海面からはほとんど蒸発または昇華せず、降水量の点では極地方はかなり乾燥した状態にあり、その降水量は中緯度の砂漠地帯と同等である。この少ない降水量により、夏季には高緯度地域に降った雪が解ける。氷のない北極海は長い夏の間に太陽放射を吸収し、より多くの海水を蒸発させることで北極地方の大気中の水蒸気量が増す。降水量が多いと、この雪の一部は夏の間に解けることはないかもしれないため、より標高と緯度の低い地域で氷河が形成されることがあり、上述したアルベドの増大により、陸上の気温は下がる。さらに、この仮説によると、海洋の流氷の欠乏によって北極海と北大西洋との間で海水の交換が増加することで、北極海は温められ、北大西洋は冷やされる。温暖化サイクルの間に北大西洋に淡水が流れ込むことは、地球の海洋大循環を減少させるかもしれない。メキシコ湾流の影響の減少による海洋循環の減少は、北ヨーロッパに及ぼす冷却効果があるだろうとされ、夏の間も保持される低緯度地域の雪の量が増えることになるだろうと考えられている。また、氷河拡大期には氷河はセントローレンス湾を通って流れ下り、メキシコ湾流をせき止めるほど遠くまで北大西洋に広がるかもしれないことも示されている。
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