機甲戦の将来
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/03 03:21 UTC 版)
戦車が機甲戦に必須であるとみなされる場合、部隊は、戦力投射時の展開のしやすさと輸送を常に考慮しているが、主力戦車は通常こうした要素を備えない。 航空または海上輸送によって、戦車および戦車部隊の支援機材を運ぶには数週間を要する。若干の戦車と装甲車両は、ヘリコプターで輸送するか、パラシュートで空挺投下するか、輸送機によって移動が行えた。最大の輸送機でも、1両か2両の主力戦車の輸送が可能であるに過ぎない。より小さな輸送機では、軽戦車やM113のような装甲兵員輸送車の輸送が可能であるに過ぎず、または空挺投下が行えるだけである。 従来の主力戦車の任務を引き受けられる、空挺用の装甲車輌を開発したいという願望は、通常、対戦車ミサイルを搭載した軽車輌か、防護/装甲/機動砲システムという仕様の車両となる結果を生んだ。これらは強力な主砲と優れた電子照準機器の装備により、敵より先んじて発見し、射撃し、撃破できる能力を備えることで装甲防護能力の欠如を部分的に相殺するが、この概念は第二次世界大戦中のアメリカ陸軍の戦車駆逐車と運用の点で同じである。 仕様にこうした考慮を払った車輌には、スティングレイ軽戦車、AMX-10RC、チェンタウロ戦闘偵察車などが含まれる。アメリカでのそうした車輌を開発しようとする計画は大部分が失敗した。例としてはM8装甲砲システム、また最も成功したものは欠陥を抱えたM551シェリダン軽戦車である。これは、当時としては革新的な152mm CLGPランチャー(Cannon-launched guided projectileの略。直訳すれば砲から発射される誘導投射体)を搭載することで、従来通りの撃破能力を持つ空挺車輌を生産しようと試みたものだった。紛争地帯でも従来型の主力戦車を海上から揚陸できる余裕があることや、また乗員を空輸し、既に配置済みの装備に合流させられることから、アメリカ合衆国では、こうした車輌の必要性は他の国々よりも低かった。 イラクの暴動のような限定的な紛争の経験では、装甲した車輌どうしで滅多に戦闘が起こらないものの、安全性の欠如から軽車輌に装甲を施す結果となった。また装甲輸送車や戦闘車輌、また戦車の投入では、待ち伏せや即席爆発装置(IED)に対する防護が繰り返された。そうした侵攻戦の最新の経験は、ストライカー機動砲システムという形で、装甲砲システムの様式を持った車輌をアメリカ合衆国へ復帰させることとなった。
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