機密保持の性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 05:51 UTC 版)
福井静夫は機密の性質を2種に区分している。 そのものの名称、存在などは知らせるが、その性質の重要なものについては秘匿するもの。艦の速力、航続距離、復原、動揺、旋回性、砲の最大仰角、射程、初速などはこれに属し、全ての戦艦の主砲射表、徹甲弾の性質、構造は機密度の最も高い軍機指定であった。 そのものの存在を秘匿する。九一式徹甲弾、酸素魚雷などがこれに属する(列強海軍が徹甲弾や魚雷を保有すること自体は暗黙の周知であるが、全ての型式について公表している訳ではない)。酸素魚雷の場合、酸素を特用空気と言い換え、発射管を扱う水雷科員にも魚雷の気室に圧入する気体が酸素であるとは、教育・訓練の際にも説明しなかった。 例えば前級の長門型戦艦は1種目の意味で機密保護が行われた。1種目の意味での機密扱いはどこの軍隊でも見られる類であるが、大和型の場合は艦全体が2種目の意味で機密扱いとなり、民間は言うまでもなく、海軍部内関係者に対しても、できるだけ推察しにくいように下記の一連の工夫がなされた。 実際には呉や長崎の一般住民の中にも新戦艦が建造中であることは公然の秘密だった。呉の平原町からはドックから引き出されたばかりの大和(1号艦)が目撃されている。だが当時の国民一般は軍に対して協力的であり、見ても他に語ることを躊躇することが多かった。帰省する軍人も同様であったという。それでも噂は徐々に広まり福井も新戦艦について質問されることがあったが、そうした戦前の社会の姿勢が機密保持に有益だった旨を述べ、当時の国民を賞賛している。
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