構造上・音響上の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/15 19:15 UTC 版)
「アルプ・シュニットガー」の記事における「構造上・音響上の特徴」の解説
シュニットガーのオルガンの構造上・音響上の特徴には以下の点が挙げられる。 オルガンでありながら工芸品として最高レベルにある。シュニットガーは、以前からあるオルガンが自分の音響コンセプトと合致する場合には、堅牢に組み立てられた音響の良い基本構造をそのまま使うことも珍しくなかった。ただし、前面の外観を形成するプリンシパル(主要ストップで、ほぼ純粋なスズで造られる高価な部分である)のパイプ群(前面陳列管)や混合管、およびリード管の一部は必ず自分で製作した。 基本構成: シュニットガー以前の世代のゴットフリート・フリッチェやオルガン製造一家であるシェーラーらの作品同様、シュニットガーの楽器もハンブルガー・プロスペクトと呼ばれるパイプが互いに区画化されて分離された配置になっている 。これはルネサンス時代のコーリ・スペッツァーティ(分割合唱)の伝統に由来するものである。このことから、シュニットガー・オルガンは北ドイツ・オルガン楽派の特徴を述べる際の理想的な作例となっている。 中央の多角形のバス塔とその両側の尖ったテナー塔によって、中心部(小振りな背後部分を含む)はシンメトリックな外観に構成されている。バス塔とテナー塔の間は、それぞれ2階建ての平板な構造で、ここに高音部のパイプが並べられている。ペダル鍵盤のパイプ群は、この中心部の両側に独立したペダル塔として配置されている。後期作品(たとえば、ペルヴォルム(1711年)、スネーク(1711年)、イツェホー(1719年)のオルガンなど)では特に、装飾的な平板部がペダル塔と中心部とを繋ぐという傾向が強くなる。 小さな村のオルガンでも、シュニットガーの輝かしく「つんざくような」混合管を上声とする、プリンシパル・ストップによる完全なハーモニーを備えている。1687年頃までシュニットガーは、それまでの世代を引き継いで、カペルのオルガンのようなポリフォニーに良く合う深く「マイルドな」混合管を造っていた。その後彼は何重にもコーラスを重ねたホモフォニックな混合管を多く組み込むようになっていった。 ペダルではリード管が拡張されている。その力強い根音の響きはトゥッティの下支えをなすもので、17世紀半ばからオルガンに付与されたものである。こうした豊かな響きを備えたペダルを前提に、シュニットガーのオルガンはペダルカプラーのないものが設計されるようになった。 いくつかのストップはポリフォニックな性質を有している。「パイプの発音のエレガンス、低音と高音の親近感、プリンシプル・ストップとリード管の融和性、驚くべき豊かな音量を導き出すフルー管の複合的なキャラクター」。南ドイツのオルガンに比べ、シュニットガーのオルガンではリード管が大きな比率を占める。 中全音律に調律されている。強い要望があった場合だけは(後に)ウェル・テンペラメントに改造されている。こうした改造がシュニットガー自身によるものであったかどうかは明らかでない。ストップの配置や全般的なイントネーションは、都市部のオルガンの方が村落部のオルガンに比べ音響上より洗練されている。
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