楽曲の権利
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 06:50 UTC 版)
デッドボールPは商業デビュー後もしばらくは、日本音楽著作権協会(JASRAC)等の著作権管理事業者への楽曲の信託を行っていなかった。これは、デッドボールPだけでなく、VOCALOIDを用いた曲のジャンル全体の状況によるもので、インターネットでの曲の自由な利用で人気が広まることによって流行が成り立った事情から、そういった自由な利用を妨げる恐れのある管理事業者への信託という行為に対しジャンル全体として拒否感があったこと、金儲けそのものを嫌う風土があったこと等が影響していた。しかし、そのためこのジャンルでは、発表した曲がカラオケで流行しても、カラオケ店からの利用料の徴収がJASRAC以外には出来ないことから、作詞作曲者が著作権収入を得られないという状態が続いていた。そうした中、デッドボールPは、2010年の夏に行われた著作権信託の仕組みなどを解説するインターネット生放送にJASRACの理事長らとともに出演、この放送はJASRACへの不信感の強かったジャンルの流れを変え、楽曲の利用形態ごとの「支分権」に分けてJASRACへ信託する部分信託の仕組みの導入に道を開いたとされる。音楽出版社を通して曲の権利を信託する場合は、曲ごと、支分権ごとに信託する範囲を調整することが出来る。デッドボールPは自ら音楽出版社と交渉し、「演奏」「貸与」「放送」「通信カラオケ」を信託する一方、インターネットでの利用にかかわる「インタラクティブ配信」は信託しないという形を示した。デッドボールPがこのような枠組み作りに積極的に取り組んだのは、学生時代に活動していたインディーズレーベルで自分の楽曲を他人名義にされたり、二束三文で買い取られたりといった経験を繰り返したことから、「アマチュアであっても権利はしっかり守るべきだ」という意識が強かったことがあるという。 こうした取り組みの影響もあり、2010年末には、エクシング・ミュージックエンタテイメントやクリプトン・フューチャー・メディアなど、同様の部分信託の方法で曲の権利を扱う音楽出版事業を行う事業者も現れるようになった。ただ、デッドボールPはこうした仕組みはまだ不十分と見ており、2011年の朝日新聞のインタビューに「小規模な個人だけでなく、大規模な法人も音楽の二次利用をしている。前者からはお金を取らず、後者からは集められるような仕組みがあるといい。そうすることで個人(創作者)の層が厚くなっていくと思う」と答えている。
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