架空のキャラクターをアニメ化する方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/16 15:33 UTC 版)
「コンピュータアニメーション」の記事における「架空のキャラクターをアニメ化する方法」の解説
ほとんどの3次元コンピュータアニメーションシステムでは、アニメーターはまず骨格や棒人間のような単純化したもので人物を表現する。骨格モデルの各部分の位置はanimation variables(アニメーション変数の意)またはAvarsで定義される。人間や動物を描く場合、骨格モデルは実際の骨格と対応していることが多いが、同じ手法(骨格とそれを覆う表面)を他の動く物体の描画に使うこともあり、例えば顔面の描画に使われる(別の手法もある)。映画『トイ・ストーリー』のキャラクター ウッディには全部で700のAvarsを使っているが、そのうち100のAvarsは顔面用である。コンピュータはレンダリング時に骨格を描画するわけではなく、骨格モデルを使って人物の向きや位置を正確に計算し、それを使って画像に描画する。従って、Avarsの値を変化させていけば、人物に動きを与えることができる。 リアルな動きを得るための Avarsの値の生成方法はいくつかある。古くはアニメーターがAvarsを直接操作した。全フレームでAvarsを設定するのではなく、いくつかの戦略的時点のフレームについてだけAvarsを設定し、それ以外はコンピュータに補間させる。これをキーフレーミングという。キーフレーミングではアニメーターが動きを制御できる。これは、手描きのセルアニメの手法をデジタルに持ち込んだものと言える。 対照的に、モーションキャプチャという比較的新しい手法では実写の動きを利用する。モーションキャプチャでコンピュータアニメーションを動かす場合、実際に画像処理のためのマーカーを身に着けた人間がアニメ化されるキャラクターのようにシーンを演じる。マーカーの動きをビデオカメラを使ってAvarsとして記録し、記録されたAvarsをコンピュータ上でアニメ化されたキャラクターに適用する。 どちらの手法も一長一短であり、2007年現在、ゲームや映画の制作ではどちらかの方法を採用するか、場合によっては両方を組み合わせて用いる。キーフレームアニメーションは、人間が演じるのが困難または不可能な場合に適しており、モーションキャプチャは人間の演者の微妙な動きも再現できる。例えば2006年の映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』では、俳優ビル・ナイがデイヴィ・ジョーンズというキャラクターを演じた。ナイ自身は映画には顔を出していないが、彼の演技を記録することで微妙な動きや表情などがそのキャラクターに付与されている。従って、モーションキャプチャはリアルな振る舞いや動きが必要な場合に適しているが、演じるキャラクターは単に衣装や特殊メイクでは実現できないものである。
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