朱砂とは? わかりやすく解説

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しゅ‐しゃ【朱砂】

読み方:しゅしゃ

辰砂(しんしゃ)1


す‐さ【朱砂】

読み方:すさ

辰砂(しんしゃ)」に同じ。

胡粉、—など色どりたる絵どもかきたる」〈一四九〉


朱砂

読み方:シュシャ(shusha)

水銀硫黄との化合物

別名 辰砂丹砂


辰砂

(朱砂 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/13 18:40 UTC 版)

辰砂
分類 硫化鉱物
化学式 HgS
結晶系 三方晶系
へき開 三方向に明瞭
モース硬度 2 - 2.5
光沢 金剛光沢
洋紅色
条痕 紅色
比重 8.1
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
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金属光沢のある辰砂の結晶。
貫入双晶が見られる。

辰砂(しんしゃ、英語: cinnabar)は硫化水銀(II) (HgS) からなる鉱物である。別名に賢者の石赤色硫化水銀丹砂朱砂水銀朱などがある。日本では古来「 」と呼ばれた。水銀の重要な鉱石鉱物

概要

不透明な赤褐色の塊状、あるいは透明感のある深紅色の菱面体結晶として産出する。『周禮』天官冢宰[1]の鄭注に「五毒、五藥之有毒者」のひとつにあげられる[2]など、中国において古くから知られ、錬丹術などでの水銀の精製の他に、赤色(朱色)の顔料漢方薬の原料として珍重されている。

史記』巻128貨殖列伝[3]には、「巴の地方にいた清という名の寡婦は、先祖が丹穴を手に入れたことで、数世代にわたり巨利を得ていた」(而巴寡婦清、其先得丹穴而擅其利數世)と、辰砂の発掘地を見つけた人間が巨利を得た記述がある。

中国辰州(現在の湖南省近辺)で多く産出したことから、「辰砂」と呼ばれるようになった。日本では弥生時代から産出が知られ、いわゆる魏志倭人伝邪馬台国にも「其山 丹有」と記述されている。古墳の内壁や石棺の彩色や壁画に使用されていた。漢方薬漆器に施す朱漆や赤色のである朱墨の原料としても用いられ、古くは若杉山辰砂採掘遺跡(徳島県阿南市水井町)、伊勢国丹生(現在の三重県多気町)、大和水銀鉱山(奈良県宇陀市菟田野町)、吉野川上流などが特産地として知られた。平安時代には既に人造朱の製造法が知られており、16世紀中期以後、天然・人工の朱が中国から輸入された。現在では大分県、熊本県、奈良県、徳島県、などで産する。

2016年(平成28年)5月、日本地質学会は47都道府県の「県の石」を選定し、辰砂を「三重県の鉱物」に選定した[4]

利用

水銀の精製

辰砂を空気中で 400–600 °C に加熱すると、水銀蒸気と亜硫酸ガス(二酸化硫黄)が生じる。この水銀蒸気を冷却凝縮させることで水銀を精製する。古代から水銀製錬の原理は変わっておらず、時代を経てレトルト炉や重油を用いたロータリーキルン炉に変更していったが、これらは主として生産能力と従事者の安全性[注 1]に関する改良であった。炉から放出された水銀蒸気を含むガスは脱硫装置を経て、「コンデンサー」と呼ばれる冷却・凝集装置に集められる。コンデンサーは、黒鉛製のパイプを楯状に複数立てた、上の穴が開けられていない煙突のような独特の構造であり、ガスはここに滞留して温度が低下していくうちにガス中に含まれている水銀が液化し、パイプの内側に付着する。定期的にパイプ内部には水が通されており、水によって「洗い流される」形で底部に落とされる。また、同時に「スート」と呼ばれる、水銀及び不純物を含む塵も回収され、こちらからも水銀が採取される。回収された水銀は、水と分離した後に濾過および硫酸硝酸による洗浄を経て、粗製水銀として製品化される。水銀及び有害成分を除去されたガスは煙突を通って大気に放出された。水銀鉱山や製錬所にはこのコンデンサーが必ず立てられており、シンボル的存在となっていた。

硫化水銀(II) + 酸素 → 水銀 + 二酸化硫黄

 周禮 (中国語), 周禮/天官冢宰, ウィキソースより閲覧。 
  • ^ 中国医学・日本漢方における〈毒〉[リンク切れ]
  • ^  司馬遷 (中国語), 史記/卷129, ウィキソースより閲覧。 
  • ^ 三重県広聴広報課 編『県政だよりみえ 平成28年8月号 (No.385)』(PDF)三重県広聴広報課、2016年8月7日、3頁https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000647140.pdf2024年10月27日閲覧 
  • ^ Hypercinnabar, mindat.org
  • 参考文献

    関連項目

    外部リンク




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