最近のDSP
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 14:25 UTC 版)
「デジタルシグナルプロセッサ」の記事における「最近のDSP」の解説
TI の TMS320C6000 シリーズは1.2GHzのクロック周波数で、命令キャッシュとデータキャッシュを分離実装し、8MiBの2次キャッシュを装備し、64個の(E)DMAチャネルを備えてI/Oも高速化している。上位機種は8000MIPSの性能で、VLIW型の命令を使って1クロックに8命令を実行できる。また、各種I/Oバスにも対応している(PCI、シリアルなど)。 高性能DSP市場では他にフリースケールも活発に事業を進めている。同社は、StarCore アーキテクチャに基づくマルチコアDSPファミリ MSC81xx を提供している。最新の MSC8144 DSP は4個のSC3400 StarCore DSPコアを備えており、各コアが1GHzで動作する。Berkeley Design Technology, Inc. (BDTI) が公表している BDTIsimMark2000 の結果によると、SC3400 は1GHzのプログラマブルDSPの中でも高性能を発揮している。 アナログ・デバイセズもDSP市場では重要な位置を占めている。様々なDSPを取り揃えているが、中心はマルチメディア向け(コーデック、フィルタ、DA変換など)である。SHARCベースのプロセッサは、198MFLOPS(66MHz)から2400MFLOPS(400MHz)の性能である。機種によっては複数の乗算器やALUを備え、SIMD命令や音声処理専用のコンポーネントや周辺機器を備えている。また、同社のBlackfinファミリは組み込み用DSPであり、DSP機能と汎用プロセッサの機能を備えている。そのため、μClinuxカーネルやvelOSity、Nucleus RTOSなどのOSを実行しつつ、リアルタイムデータも効率的に処理できる。 またNXPセミコンダクターズは、VLIW技術を使いマルチメディア処理に最適化した TriMedia をリリースしている。一部製品ではDSPをSoCの固定機能ブロックとして使っている。TriMedia は固定小数点数と浮動小数点数をサポートし、フィルタやコーデックに特化した命令を備えている。 多くのDSPが固定小数点数を使っているのは、実際の信号処理では浮動小数点数のような広範囲な数値を必要とせず、固定小数点数の方が高速に処理できるためである。ただし、ダイナミックレンジの広い用途では浮動小数点数が必須になる。また、一般的なコンピュータではアルゴリズムが浮動小数点数で実装されていることが多いため、ソフトウェア開発のコストを低減させるために浮動小数点数のDSPを採用する場合もある。 DSPの機能はFPGAでも実装できる。 組み込み用の汎用RISCプロセッサは、DSP的な機能を取り入れつつある。例えば、ARM Cortex-A8 には128ビットのSIMDユニットがあり、16ビットおよび8ビットのSIMD演算性能は非常に高い。
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