最初の魔法の弾丸の発見 - サルバルサン
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「魔法の弾丸 (医学)」の記事における「最初の魔法の弾丸の発見 - サルバルサン」の解説
1906年、エールリヒはヒ素化合物の新しい誘導体を開発し、「化合物606」(Compound 606)とコードネームを付けた(この数字は、彼がテストしたすべての化合物のシリーズを表す)。この化合物は、実験動物におけるマラリア感染に対して有効であった。1905年、フリッツ・シャウディン(英語版)とエーリッヒ・ホフマン(英語版)は、スピロヘータ菌(梅毒トレポネーマ)を梅毒の原因菌として特定した。この新しい知識をもとに、エールリヒは梅毒に感染したウサギで化合物606(化学的にはアルスフェナミン)をテストした。彼はその有効性を認識していなかった。秦佐八郎はエールリヒの研究を調べ、1909年8月31日、化合物606を注射したウサギが1回の投与だけで治癒し、副作用を示さないことを発見した。当時の梅毒の治療手順では、2年~4年にわたって定期的に水銀を注射するのが一般的であった。この情報を受け取った後、エールリヒは、ヒトの患者で実験を行い、同じように成功した。説得力のある臨床試験の後、化合物606は「ヒ素を節約する」(saving arsenic)という意味の造語である「サルバルサン」(Salvarsan)という商品名を与えられた。サルバルサンは1910年に商業的に導入され、1913年にはより毒性の低い「ネオサルバルサン」(化合物914)が市場に導入された。これらの薬は、20世紀半ばにペニシリンやその他の新しい抗生物質が登場するまで、梅毒の主要な治療法となった。エールリヒの魔法の弾丸の研究は、薬学研究の基礎となった。
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