日露戦争時の日本海軍における丁字戦法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/03/14 16:03 UTC 版)
「丁字戦法」の記事における「日露戦争時の日本海軍における丁字戦法」の解説
日露戦争の開戦前、日本海軍では「連合艦隊戦策」が定められ、丁字戦法と乙字戦法をとることが決められた。また「連合艦隊戦策」を基に各戦隊ごとの戦策が決定され、その全てに丁字戦法と乙字戦法が取り入れられた。この戦策が掲載されている日本海軍編纂の内部資料である極秘の「明治三十七八年海戦史」(一部が抜粋された上に機密部分を改変された同じ題名の公刊のものが存在する)によれば、黄海海戦や日本海海戦、その他の小戦闘に至るまで全てこの戦策によらないものは無いと記されている。公刊の戦史には戦策の記載は無い。 開戦前に定められた「連合艦隊戦策」においては全艦隊での決戦時における第1戦隊の戦法を「丁字をえがきなるべく敵の先頭を圧迫する如く運動し且つ臨機適宜の一斉回頭を行い敵に対し丁字形を保持するに努めんとす」としている。敵が相応の運動を執って結局は併航もしくは反航になることも予想されており、その時は戦闘距離を保持する運動や16点一斉回頭(全艦で一斉に半回転する)を行うことがあるとされている。ただしこの最初の「連合艦隊戦策」には丁字戦法という記載はない。 一方の各戦隊ごとの戦策では「連合艦隊戦策」にある第1戦隊の戦法を丁字戦法と呼びこれを採用するとあるが、敵の列端(先頭や一端という表現もある)を攻撃することが付け加えられており、さらに細かな違いも見られる。 「連合艦隊戦策」は日本海海戦を前に改められ、「単隊での戦闘は丁字戦法、2隊での協同戦闘は乙字戦法に準拠する」という表現になった。また全艦隊での決戦時における第1戦隊は「敵の第2順にある部隊の先頭を斜に圧迫するが如く敵の向首する方向に折れ勉めて併航戦を開始し爾後戦闘を持続す」と定められている。これに対し戸高一成は矛盾する戦法であり、日本海海戦で丁字戦法が用いられなかった証拠の一つであるとしている。ただし第2戦隊は「状況の許す限り乙字をえがき」と定められており、2隊での協同戦闘が基本とされていると考えれば矛盾していない。
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