日本初のロックフィルダム施工例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 07:42 UTC 版)
「石淵ダム」の記事における「日本初のロックフィルダム施工例」の解説
こうして、日本において最初に施工されたロックフィルダムである石淵ダムは完成した。しかし岐阜県が木曽川水系久々利川に建設した小渕防災溜池(小渕ダム)が石淵ダム完成の前年・1952年に完成しており、石淵ダムは完成例において日本で最初になることはできなかった。だが石淵ダムを出発点として日本のロックフィルダム技術は発展し、御母衣ダム(庄川)や九頭竜ダム(九頭竜川)、徳山ダム(揖斐川)などといった大規模ロックフィルダムの建設につながってゆく。 石淵ダムの特徴はダム本体上流部のコンクリート舗装部が貯水を遮り、ダム本体内部への水の浸透を防ぐ遮水壁(しゃすいへき)となっていることである。これをコンクリートフェイシングフィルダムまたはコンクリート表面遮水壁型ロックフィルダムと呼び、英語の頭文字を取ってCFRDと略される。日本では石淵ダム、小渕防災溜池のほか1956年(昭和31年)群馬県に野反(のぞり)ダム(中津川)、1963年には秋田県に皆瀬ダム(皆瀬川)が建設された。しかし当時はロックフィルダムの締め固め技術が現在のように進歩しておらず、本体締め固め不足による不均等な堤体陥没(不等沈下)やクラックと呼ばれるひび割れなどが発生し易く、その対策も未確立だったため皆瀬ダムの完成以降しばらく新規の施工例は無かった。以降日本におけるロックフィルダムの施工は、ダム本体中央部に不透水性の粘土などを用いて遮水壁を形成する中央土質遮水壁型ロックフィルダムが主流になり、胆沢ダムもこの型式を採用している。 しかしロックフィルダム技術の進歩に伴いこれらの問題解決が可能となり、経済性にも優れていることから2004年(平成16年)岡山県の苫田鞍部ダム(吉井川)が41年ぶりに同型式として新規に完成した。なおこの型式は世界的には中国の清江に建設中の水布埡ダム (en) が高さ233メートルと世界一を誇っており、完成例では高さ156メートルの紫坪埔ダム(岷江)などがある。既設のものではブラジルのカンポスノボスダム (en) が202メートルと世界一の高さを有する。
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