日本のアーチダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/07 03:40 UTC 版)
「アーチ式コンクリートダム」の記事における「日本のアーチダム」の解説
日本に建設されている全てのアーチダムについては、日本のアーチダム一覧を参照のこと。 日本では島根県の三成ダム(斐伊川)が河川法上の規定によるダムとしては最初のアーチ式コンクリートダムであるが、大正時代に旧・武蔵水力電気(東京電力の前身の一つ)が埼玉県に建設した浦山堰堤(堤高 14.0 m。現在は浦山ダムに水没。)が日本初のアーチ状堰堤建設例とも言われている。小堰堤まで含めれば青森県にある旧海軍大湊要港部水源地堰堤が、現存する最古のアーチダムということになる。大規模なアーチダムについては土木技術が未発達であったことで、多発する地震や集中豪雨・台風時の洪水処理に対する安全性の不安があって戦前は施工されなかった。 日本で最初の高さ 100 m を超える大規模アーチダムは宮崎県の上椎葉ダム(耳川)である。現在のアーチ式コンクリートダムで見られるオーバーハングした三次元的形状が取り入れられた最初のアーチ式コンクリートダムは和歌山県の殿山ダム(日置川)が最初である。その後アーチダムの研究が活発化するに連れ盛んに建設されるようになり、1963年(昭和38年)に完成した黒部ダムは日本最大のダムとして、日本のダムの歴史に燦然と輝いている。ダムの形状としては美しい外観を有していることから、黒部ダムや温井ダム(滝山川)、豊平峡ダム(豊平川)などのように観光地化しているダムも多い。 強固な岩盤を有する峡谷に建設されることから、犀川や鬼怒川の様に同一河川に集中して建設されている例もある。近年は建設に適する地点が極めて少なくなり、2001年(平成13年)に完成した新潟県の奥三面ダム(三面川)の後は完成例がない。熊本県の川辺川ダム(川辺川)が計画されているアーチダムとしては唯一となるが中止の公算が大きいことから、今後この型式で建設される可能性は極めて少ない。
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