新下関駅 - 博多駅間の特例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 00:14 UTC 版)
「最長片道切符」の記事における「新下関駅 - 博多駅間の特例」の解説
現在JR各社間で統一されていない旅規の解釈上の問題があり、これによってJRの最長片道切符の経路と総延長距離が大きく変わる。 新下関駅 - 博多駅間で新幹線と在来線の双方を経由するルートが認められるかという問題である。 1996年1月のJR北海道・JR四国・JR九州のいわゆる三島会社の運賃制度改訂により新下関・博多間は幹在別線となったが、旅規第16条の3で「第26条の普通乗車券の発売」と「第68条第4項の旅客運賃計算上の営業キロ等の計算方」については、幹在同一路線として取扱うと規定した。したがって、新下関、小倉、博多の各駅で新幹線から在来線に折り返す場合はキロの通算が打ち切られ、当該打切り駅までしか片道乗車券は発売されず、この区間で新幹線と在来線の双方に乗車することができない。 従来どおり幹在同一路線として扱うためには、前述した旅規第68条第4項第1号および第2号(環状線一周、折り返しによる打ち切り)で十分だった。しかし、このとき第3号として次の規定が加えられ、問題が複雑になった。 (3) 新下関・博多間の新幹線の一部又は全部と同区間の山陽本線及び鹿児島本線の一部又は全部とを相互に直接乗り継ぐ場合は、次により計算する。 ア 山陽本線中新下関・門司間及び鹿児島本線中門司・小倉間の一部又は全部(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)と山陽本線(新幹線)中新下関・小倉間(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む。)とを新下関又は小倉で相互に直接乗り継ぐ場合は、新下関又は小倉で鉄道の営業キロ又は運賃計算キロを打ち切つて計算する。 イ 鹿児島本線中小倉・博多間の一部又は全部(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む)と鹿児島本線(新幹線)中小倉・博多間(同区間と同区間以外の区間をまたがる場合を含む)とを小倉又は博多で相互に直接乗り継ぐ場合、小倉又は博多で鉄道の営業キロ又は運賃計算キロを打ち切つて計算する。 これにより、「新下関 - 小倉間の新幹線と在来線を新下関駅または小倉駅で直接乗り継ぐとき、あるいは小倉~博多間の新幹線と在来線を小倉駅または博多駅で直接乗り継ぐときは、乗継駅(新下関駅、小倉駅、博多駅)で営業キロ又は運賃計算キロを打ち切る。」という規則となり、「直接乗り継がないときは、(第68条第4項第1号または第2号の規定にかかわらず)乗継駅で営業キロ又は運賃計算キロを打ちきらずに、片道乗車券として発券できる」という解釈の余地を生み出した。 ここで、「直接乗り継ぐ」の解釈には、以下に示す旅客営業取扱基準規程第43条の2の規定が関連している。 (前略) 南小倉以遠(城野方面)の各駅と博多以遠(竹下方面)の各駅相互間、柚須以遠(原町方面)の各駅と小倉以遠(門司方面)の各駅相互間又は南小倉以遠(城野方面)の各駅と柚須以遠(原町方面)の各駅相互間を乗車する旅客が、新幹線(小倉・博多間)に乗車する場合は、西小倉・小倉間又は吉塚・博多間において途中下車しない限り、当該区間の営業キロを除いた片道乗車券又は往復乗車券を発売する。 この条項は、1996年1月改訂で幹在同一線扱いだった小倉・博多間が別線扱いとなったため、それ以前から存在していた西小倉・小倉間及び吉塚・博多間の「分岐点通過列車に対する区間外乗車の規定」の趣旨を引き継いだものである。 前述の葛西隆也のケースでは、「小倉(新幹線)博多(鹿児島線)吉塚(篠栗線・香椎線)香椎(鹿児島線)西小倉(日豊線)」という経路による片道乗車券が発売された。博多で新幹線と在来線を「博多駅で直接乗り継いでいない=博多~吉塚間は分岐点通過列車に対する区間外乗車である」とみなされたようである。しかし、この区間を葛西の伴走者は、「博多駅での直接乗り継ぎであり、乗継駅(博多駅)でキロ数の通算を打ち切る」という解釈がなされたようで、その乗車経路が葛西の最長片道切符の経路内だったにもかかわらず、片道乗車券として発券されず、連続乗車券を購入せざるをえなかったという。このように、旅規第68条第4項第3号の解釈は(少なくとも当時は)JR各社間で統一されていない。
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