文字体系と表記体系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 22:08 UTC 版)
文字体系(英: script、書記系、用字系、スクリプトとも)とは、同種の表記に使われるひとまとまりの文字の体系のことを言う。特定の文字体系を指すときは、単に「〜文字」と称することも多い。また、同じ系統や同じ類型に属すると考えられる文字体系のグループを「〜文字体系」ないしは「〜文字」と呼ぶこともある。 一般に、言語と文字体系は一対一に対応しない。アラビア文字、漢字、キリル文字、デーヴァナーガリー、ラテン文字のように、複数の言語で表記に使われる文字体系は多い。逆に一つの言語で複数の文字体系が使われている場合もあり、日本語では漢字、平仮名、片仮名の 3 つの文字体系が言語の表記に不可欠なものとなっている。セルビア語やボスニア語等にはラテン文字、キリル文字の 2 通りの表記方法が存在し、このように同一言語に複数の文字体系が存在することをダイグラフィアと呼ぶ。 表記体系(英: writing system、文字体系、書記系、書字系、書字システムとも)とは、ある文字体系に加えて、正書法、句読法や、字体、文字、語句の選択基準などの種々の言語的慣習をも含む文字使用の体系のことを指す。同じ文字体系を用いていても、異なる言語では表記体系に違いが見られることもある。現実には、文字体系と表記体系との区別は曖昧であり、両者はしばしば混用される。 コンピュータによる文字情報処理の分野では、複数の言語を同時に扱う際に、文字体系や表記体系に範をとった概念が用いられる。用字系(英: script、スクリプト、または単に用字とも)は、特定の言語(一般に複数)のために用いるためのひとまとまりの文字や記号を指す。書記系(英: writing system)は、ある用字系(一般に複数)を用いて特定の言語を表記するための規則の集合を指す。
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