政府調達条項(1979年通商協定法第305条⒟~⒦、1988年包括通商競争力法第7編)
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「1974年通商法」の記事における「政府調達条項(1979年通商協定法第305条⒟~⒦、1988年包括通商競争力法第7編)」の解説
1988年包括通商競争力法第7編(第7編は、1988年バイアメリカン法として引用できると規定されている。)は、米国の産品及びサービスの政府調達を差別する諸外国に対抗するために、1979年通商協定法第305条に⒟~⒦を新設して、当該国の産品及びサービスの米国政府による購入を制限することを規定した。この条項は、1988年包括通商競争力法タイトルⅦと呼ばれる。 この1988年包括通商競争力法第7編は、1994年4月30日限りで失効した。(1988年包括通商競争力法第7004条) 1979年通商協定法第305条⒟~⒦の概要は次のとおりである。 ① 大統領は、毎年4月30日までに、次の事項を特定する報告書を議会に提出する。 イ 政府調達協定の署名国で、同協定の義務に従っていない国 ロ 政府調達協定の署名国で、協定の適用外の分野の政府調達で米国の企業に損害を与える差別慣行を維持しており、かつ当該国の産品又はサービスが米国政府により相当な数量で購入されている国 ハ 政府調達協定の非署名国で、政府調達において米国の産品若しくはサービスに対して差別慣行を維持し、米国企業に損害を与えており又は透明性のある手続きを採用せず、若しくは政府調達における腐敗の防止に効果的禁止を怠っており、かつ、当該国の産品又はサービスは米国政府により相当な数量で購入されている国 ② USTRは、年次報告書において特定された国との協議を要請し、 イ 当該国が政府調達協定署名国であり、協議の結果、当該国が政府調達協定に従わない場合、協議開始から60日以内に、同協定に基づく正式の紛争処理手続きに従った手続きを要請しなければならない。紛争処理手続きの開始から18月以内に手続きが終了しない場合、大統領は当該国に対し、制裁措置を発動する。 ロ 当該国が政府調達協定非署名国であるか、又は政府調達協定の署名国であるが、協定の適用外の分野の問題の場合、協議の結果、当該国が差別的調達慣行を除去しない場合、協議開始から60日を経た時点で、大統領は当該国に対し、制裁措置を発動する。 ③ 制裁措置は、「当該国の産品又はサービスの米国政府による調達を禁止する。」ことに限られる。なお、大統領又は連邦機関の長は、個別の場合に公共の利益等の理由で購入禁止を解除することができる。 ④ 対日発動事例としては、次のものがある。 イ 建築、エンジニアリンング、建設サービス 1993年4月、日本の建築、エンジニアリンング、建設サービスの公共調達を差別的慣行として特定。日本が問題解決に着手する意向を表明したため、制裁期限は2度延期され、94年1月18日、二国間協議の結果、公共事業のための入札及び契約の改正に関する行動計画を採択し決着。 ロ 電気通信・医療技術 1994年7月(包括協議が継続していたため、特定を7月まで延期)、日米包括協議の優先分野である電気通信及び医療技術の調達慣行につき特定。包括協議の下で協議を行った結果、10月1日、日本の調達手続きを改善することで合意が得られ決着。
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