放物線の面積
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/29 12:11 UTC 版)
「方法 (アルキメデスの著書)」の記事における「放物線の面積」の解説
今日、アルキメデスの方法を説明するには、もちろん当時は使うことができなかったがデカルト幾何学を少し使うと便利である。アルキメデスの考えはてこの原理を用いて他の図形の既に知っている質量中心から図形の面積を求めるというものである。最も単純な例は放物線の面積である。アルキメデスはもっとエレガントな方法を使っているが、デカルトの方法では次の積分を計算する。 ∫ 0 1 x 2 d x = 1 3 , {\displaystyle \int _{0}^{1}x^{2}\,dx={\frac {1}{3}},} これは現在では初歩的な積分を使うことで簡単に確認することができる。 アルキメデスのアイデアは、放物線(上積分される曲がった領域)と同じ材料で作られた三角形と機械的に均衡をとるというものである。放物線はx-y平面内でxが0から1に変化したときのx軸とy = x2の間の領域である。三角形はx-y平面内でxが0から1に変化したときのx軸とy = xの間の領域である。 放物線と三角形をxの値ごとに1つずつ垂直にスライスする。x軸がてこであり、支点がx=0にあると考える。てこの原理は支点の反対側にある2つの物体が、それぞれ同じトルクを持っている場合に均衡となることを言っている。このときの物体のトルクは、その物体の質量と支店からの距離の積に等しい。xの各値について、xの位置にある三角形のスライスは、その高さxに等しい質量を持ち、支点からの距離xのところにある。よって、高さx2の放物線のスライスを支点から反対側で距離1のx = −1に移すと、均衡をとることになる。 それぞれのスライスのペアが均衡をとるため、放物線全体をx = −1に移動させると、三角形全体が均衡をとることになる。これはカットされていない元の放物線を点x = −1からフックで吊るすと(その点に放物線の全質量を取り付けると)、x = 0 と x = 1の間にある三角形と均衡をとることができることを意味する。 三角形の質量中心は、アルキメデスにより次の方法で簡単に求めることができる。中線が三角形のいずれかの頂点から反対側の辺Eに引かれる場合、三角形は支点とみなされる中点で釣り合う。その理由は、三角形がEに平行な無限小の線分に分割される場合、各線分は中線の反対側で等しい長さを持ち、対称性により均衡する。この議論は無限小である線の代わりに小さな長方形を使う取り尽くし法により簡単に厳密なものにすることができ、これはアルキメデスが『平面の釣合について』で行っている。 したがって、三角形の質量中心は中線上の交点にあるはずである。問題の三角形の場合、1つの中線はy = x/2で、2番目の中線はy = 1 − xである。これらの方程式を解くと、2つの中線の交点はx = 2/3である点上にあることがわかり、てこ上における三角形の総質量は、三角形の総質量がこの点を押し下げている(もしくはぶら下がっている)かのようになる。三角形による総トルクはその面積1/2にx = 0にある支点から質量中心までの距離2/3をかけたものである。この1/3のトルクは支点から距離-1にある放物線の均衡をとる。したがって、放物線の面積は逆のトルクを与えるために1/3でなければならない。 このような方法で放物線の任意の断面積を求めることができ、同様の議論でxの任意乗の積分を求めることができるが、これ以上の乗数は代数学を使わないと複雑になる。アルキメデスは半球の質量中を求めるために使ったx3の積分までしか行っていないが、他の作品では放物線の質量中心を求めている。
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