技術的困難
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 09:45 UTC 版)
PCMの問題点は、書き込み電流密度が大きいことである(>107 A/cm²[要出典])。相変化が起きる高温部分とそれに接する絶縁体との間のコンタクトもまた大きな問題である。この絶縁体は高い温度ではリークしてしまう可能性や、相変化物質とは異なる割合で膨張すると密着性が悪くなるという懸念がある。 PCMは書き込み時のレイテンシが大きいことと、高い消費電力によりこれまで実用は困難であったが、近年ではこの問題を解決するための多くの技術が提案されている。 相変化メモリは、「書き込み時に急速に相変化させたい / 待機状態では相変化させたくない」というトレードオフが存在する。これは主に相変化が電気的でなく熱的に起こるものだからである。結晶化温度は常温と近すぎてはならない。近すぎると、データを長い間保持することはできないからである。結晶化に至るまでに適当な活性化エネルギーがあれば、書き込み時のみに急速に結晶化し、通常動作では殆ど結晶化が進まないような動作も可能である。 おそらく、PCMの最も大きな困難の一つは、長期での抵抗変化と閾値電圧のドリフトであろう。アモルファス相の抵抗は時間に対してべき乗則(~ t0.1)に従ってゆっくりと増大していく。これは多値化動作に非常に大きな影響を与え、閾値電圧が設計値よりも増大した場合、基本的な2値動作でさえも動作が不安定になる。 2010年4月、Numonyx社は128 MB NORフラッシュを置き換えることを目的とした、Omneoと呼ばれるシリアル/パラレルインターフェースを持つPCMチップを発表した。彼らが置き換えを目論んでいるNORフラッシュは動作温度が-40~85 ℃ であったが、このPCMチップは0~70 ℃で動作するという点が異なる。つまり、PCMはNORフラッシュと比較して動作温度の制限が強いということを意味する。おそらく、書き込みの際に必要な大電流を供給するために、温度変化に敏感であるp-n接合を使用しているからである。
※この「技術的困難」の解説は、「相変化メモリ」の解説の一部です。
「技術的困難」を含む「相変化メモリ」の記事については、「相変化メモリ」の概要を参照ください。
Weblioに収録されているすべての辞書から技術的困難を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
全ての辞書から技術的困難を検索
- 技術的困難のページへのリンク