批評史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/05 06:32 UTC 版)
「チャールズ・ディケンズ」の記事における「批評史」の解説
没後、そのストーリーの通俗性、あらすじの不自然さ、キャラクターの戯画化などのために、通俗作家として、芸術至上主義的な19世紀文壇からは批判された。確かに分冊販売という発表形態のために、人気の上下動を見て、もともと考えていた筋に執着せずに、時に強引とも思えるストーリーの変更を行った。特に『マーティン・チャズルウィット』や『ニコラス・ニクルビー』などではプロットの不自然さが目立つ。 しかし、一般大衆の人気がこうした批評で衰えることはなかった。プルースト、ドストエフスキーなどの小説家も愛読者として知られ、ギッシング、チェスタトン、ジョージ・オーウェルなども優れた評伝を寄せている。トルストイはディケンズをシェイクスピア以上の作家であると評価しているほどである。近年ではエンターテイナーとしてだけでなく、小説家としても作品の再評価が進んでおり、小説が映画、ドラマなどで映像化されることも多い。弱点こそあれ、現在の評価は、英国の国民作家という位置に、ほぼ復していると言える。 日本においては、『オリヴァー・トゥイスト』『大いなる遺産』など複数の出版社から文庫化され、ロングセラーとなっているものもあるが、その膨大な作品量も災いして、ディケンズの翻訳全集は、昭和初期の日本に舞台を移した翻案に近い選集を除いて存在しないという状況にある。ただし、2010年に田辺洋子個人による長編全訳が完成した。 ディケンズの生涯と作品を研究する団体として、ディケンズ・フェロウシップ日本支部がある。
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