悪霊に対する文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 15:41 UTC 版)
呪術師、神主、祈祷師などに、悪霊ばらい、禊(みそぎ)、祓い(はらい)を依頼するという習慣やしきたりは、東南アジア、インド、スリランカ、日本などのアジアをはじめアフリカ、中南米など世界各地に見られる。 霊に対し善霊と悪霊の二元論が徹底せず曖昧な社会もある。一方、西欧のキリスト教のように悪霊を絶対的な悪の存在として一元化し認識される場合もある。またキリスト教など憑依をするのは悪霊のみで聖霊が憑くことはないとする(聖霊には「満たされる」や「導かれる」とあえて区別して表現する)立場もあり、一神教的文化が支配的になった社会では「憑依」の概念が悪霊や異教徒の領域へと押し込められていったとする指摘がある。 歴史的には霊的対象と個別取引を行う信仰と世界宗教による普遍化の間に葛藤・共存・融合がみられる。古ゲルマン社会は死者と生者との個別取引・直接交渉・直接対決を許容する文化で死者が悪しき亡霊に変身した際には個々の対処が必要とされたが、キリスト教社会ではあらゆる災因がサタンや悪霊など絶対的な悪の属性をもつ存在に一元化されこれを神の力で排除するという枠組みに変化した。これに対して仏教では怨霊を力ずくに調伏させるというより経典読誦による供養を通して悪霊との和解を模索し鎮めるという仏法の力による悪霊の救済の枠組みで捉えられる。
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