悪路王討伐
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 17:51 UTC 版)
ある時、内裏に参内していると辻風が照日御前を天に吹き上げた。俊仁は嘆いたが、夢に3人の童子が現れて愛宕山へ向かうよう告げられる。さっそく愛宕山に登ると恐惶坊という老僧に迎えられ、帰り道に不思議な事があるだろうと教わった。大きな伏木の橋を渡ると俊仁の母の妹だという大蛇が現れ、妻を拐ったのは陸奥国高山の悪路王という鬼で、鞍馬山の毘沙門天に頼めと告げる。大蛇は成仏できないと言うので1000人の僧で法華経1万部供養で弔った。 鞍馬山に21日間籠った俊仁は毘沙門天から剣を授かり、二条大将の姫君や三条中納言の北の方など、妻子を失った者が他にもいたため、彼らを連れて陸奥国へと出発した。途中、陸奥国初瀬郡田村郷に着いたが、そこで賤女と一夜の契りを交わし、形見として一本の鏑矢を置いて悪路王討伐へと向かった。 悪路王の鉄の居城に向かうと、美濃国より拐われた少女が馬飼の女房として東門を守らされていた。悪路王が留守の間に帰れと言われるも、居城に入る方法を尋ねると、悪路王に飼わされている地獄龍という龍の駒に乗って向かうのだと少女から教わる。さっそく地獄龍に乗ると悪路王のいる越前へと飛んだため、毘沙門天の剣で地獄龍を鎮めて引き返させ、居城にたどり着いた。城門は閉まっていたが、鞍馬の神仏に祈ると門が開き、内側に大勢の女性がいたが、三条北の方と照日御前はいなかった。話を聞くと三条北の方は数日前に鬼の餌食となって首だけが残っていた。大きな桶に人間が鮨に漬けてあり、稚児が串刺しにされ、尼法師の首が数珠のようにつないであり、城の中は地獄のような光景であった。 そこへ空が曇り悪路王が帰ってきたので、鬼達と対峙した俊仁は毘沙門の剣を投げて悪路王や鬼達の首を落とした。拐われた多くの男女と共に照日御前を助けだし、俊仁はみなを連れて都へと帰った。
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